ウォール街のマクロトレーダー、2024年はパンデミック以来最悪の年へ
(ブルームバーグ): 世界の銀行の外国為替および金利取引による収入は今年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来最低の水準となる見通しだ。利ざや縮小と厳しいマクロ経済環境が収益を悪化させた。
コーリション・グリニッチがまとめたデータによると、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、シティグループ、モルガン・スタンレーを含む250社以上のG10金利トレーディングからの収入は今年、合計で320億ドル(約4兆8000億円)、通貨トレーディングは167億ドルとなる見込み。昨年と比較してそれぞれ約17%と9%の減少になる。
今年は、経済データのサプライズが世界の主要中央銀行の利下げを巡る予想を翻弄(ほんろう)し、投資家は大きなマクロ予測を立てることが難しくなった。接戦になるとみられていた米大統領選挙や、人気があった円資金によるキャリートレードの解消も市場を揺るがせた。
コーリションのグローバルマクロ市場責任者、アンガド・チャトワル氏は「2024年は傍観して待つ年だった」と述べた。「ヘッジファンドはデータポイントやイベントの周辺で断続的に市場に参入したが、継続的な活動は例年と比べるとそれほど活発ではなかった」と説明した。
チャトワル氏によれば、マクロ取引から収入は今年、利ざやの縮小によって打撃を受けた。業界の競争激化と電子取引の拡大が価格を圧迫しているためだという。
コーリションは金利トレーディングからの収入がさらに減少すると予想。ノンバンクのマーケットメーカーが存在感を増し、債券市場が電子化で他の市場に追いつくにつれ、2025年には約309億ドル、26年には281億ドルにまで減少すると見込んでいる。
一方、通貨トレーディングからの収入は、25年には172億ドル、26年には176億ドルに改善が見込まれる。トランプ米政権が外国為替市場のボラティリティーを高めることが予想されている。