熊本地震は「マチ」「ムラ」型複合震災、爪痕色濃く残る農山村部
「Noroshi西原」でも、こうした「ワクワク感」を生み出す取り組みを進めている。地震で使えなくなった畑などにヒマワリを植え、種を用いたスイーツの開発やヒマワリ迷路に活用。また、家屋解体後の空き地などに菜の花を植え、その油を商品化する取り組みも計画している。ヒマワリ、菜の花ともに、観光資源としても生かす。 同団体によると、こうした活動に参加する地域住民は徐々に増えており、「楽しかった」「癒された」など、笑顔を見せてくれるようになったという。代表の中村圭さん(30)は「『地震前よりも良くなった』と言われるような地域にしていきたい」と決意を語る。 市中心部のにぎわいは戻ったものの、農山村部など地域によっては、まだ復興は道半ばだ。こういった地域ではまだ顕在化しない課題が潜んでいる可能性もある。筆者も、地元住民の一人として、多くの人に熊本に関心を寄せ続けてほしいと願う。
----------------------------- ■田中森士(たなか・しんじ) ライター/株式会社クマベイス代表取締役CEO。1985年生まれ。熊本市在住。熊本県立水俣高校の常勤講師(地理)、産経新聞記者を経て、現職。熊本地震発生後は、被災地の課題を県内外に発信している