薬効50倍のがん治療薬 富山大、光線力学療法用に開発
富山大薬化学研究室の大石雄基講師ら研究グループが、レーザー光を使いがんを治療する光線力学療法用の新たな治療薬として、従来の50倍の薬効をもつ薬剤の開発に成功したと発表した。今後、マウスによる動物実験などを続け、治療薬としての実用化を目指す。 光線力学療法は薬剤となる光感受性物質を投与した後、がん細胞にレーザーを当てて治療する。これまでは光感受性物質が壊れやすく安定性が低いため、投与量が増え、副作用が増大する懸念があった。 新しい薬剤は、環状オリゴ糖を使い、安定性の高い「ロタキサン」と呼ばれる構造にすることで、光感受性物質を壊れにくくした。これにより薬剤が効率よくがん細胞に取り込まれ、レーザーを照射すると有意ながん細胞死が確認された。従来の薬剤と比較したところ、ロタキサン型薬剤は約50倍の薬効があると判明した。