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流れを変えた右腕の好投――大貫晋一の冷静と情熱/FOR REAL - in progress -

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週刊ベースボールONLINE

優勝を目指して戦う横浜DeNAベイスターズ。その裏側では何が起こっているのか。“in progress”=“現在進行形”の名の通り、チームの真実の姿をリアルタイムで描く、もう一つの「FOR REAL」。 飄々と、淡々と投げ続けるDeNA大貫晋一

 切り立つ山の稜線を歩くかのようだ。  わずかの凹凸につまずき、揺らぎ、急角度の面に一歩を踏み出した途端に均衡は失われる。元の位置に戻るのは容易ではない。  野球でよく言われる、流れ。勢い。モメンタム。  ある方向へと容赦なく押し流す力。  それはもはや、物理だ。

初回3失点、悔しき降板。

 勝ちと負けの行き来から連敗の斜面に転じたチームは、7月22日の引き分けでようやく踊り場に達した。そこを足がかりに登っていけるか、あるいは滑落はまだ続くのか。予断を許さない状況だった。  翌23日のスワローズ戦。先発のマウンドを託されたのは大貫晋一だ。  投手もまた、繊細な要因の重なりに結果が大きく左右される。技術、メンタル、フィジカル。噛み合えば球は生き、噛み合わなければ痛打を浴びる。残酷なほどに、その違いは出る。  7月10日のタイガース戦まで時計の針を戻そう。大貫が今シーズン2試合目の先発を務めた試合だ。  初回、先頭打者にホームランを打たれて同点に追いつかれ、さらに3本の長打を許した。3点を失ってベンチに戻った大貫は、この回限りでの交代を告げられた。 「左打者に対して新しく覚えたカットボールを使っていきたかったけど、それがうまくいかなかったし、体のキレ、コンディショニング不足も感じました。自分で自分の首を絞めているというか……一本打たれて、『次は抑えなきゃ』『次は抑えなきゃ』って、追い込まれていく感覚があった。苦しかったですね」  1イニング30球でマウンドを降りなければならなかったことは「悔しかった」。どういうプロセスで挽回していくかということより、挽回するために次は何よりも結果が欲しいと心から望んだ。  投手コーチの木塚敦志は、タイガース戦での大貫の投球をこう評する。 「外野の頭を越されて失点していくことはどうしても避けなければいけないピッチャーだと思ってます。極力、内野ゴロの多い投球をしてほしい。でも、あの試合では外野の頭を越えていく打球が多かったし、相手打線の勢いを止められるほどの内容ではなかった」  ほどなく、中3日でドラゴンズ戦に登板することが決まった。木塚は思う。 「彼にはやってもらわなきゃ困る。このままマウンドに上げるわけにはいかない」

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