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【広域農業構想】イノベ視野に具体化を(7月10日)

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福島民報

 農林水産省が東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された十二市町村で農畜産物の大規模産地化を目指す営農構想をまとめた。基幹産業の一つである農業の再生は最重要課題の一つであり、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想とも整合を図り、具体化を進めるべきだ。  農水省の構想では十二市町村全域でコメを栽培するほか、気候や生産条件が異なる平野部と中山間地域に分けて栽培・飼育に適した農畜産物を設定し、市町村の枠を超えて産地形成を目指す。共同利用できる施設も整備し、民間事業者も巻き込みながら生産から集出荷、加工までの一貫した態勢を整え、省力化やコストの削減、販路の確保・拡大につなげたい考えだ。  原発事故の影響で十二市町村では合わせて約一万七千二百九十八ヘクタールの農地が営農休止に追い込まれた。その後、意欲ある農家が中心になり、関係機関・団体と力を合わせ農業の再生に取り組んでいるものの、営農再開にこぎ着けた農地は二〇一九(令和元)年度末時点で全体の31・8パーセントとなっている。

 急激な人口減と少子高齢化に伴って担い手が減少する中、営農を再開し、将来にわたって継続するためには新たな経営形態への転換は欠かせない。鍵となるのは農地の集約や産地形成による経営規模の拡大、先端技術の導入による徹底した効率化・省力化だろう。市町村ごとの取り組みでは限界もあり、その意味で今回の広域的な営農構想には意味がある。  構想の具体化に向け、今後、市町村やJA、民間事業者らが共同で広域的な営農計画をまとめる。その際には被災地の復興政策の柱であるイノベーション・コースト構想や政府が浜通り地方に整備する国際教育研究拠点の取り組みを視野に入れる必要がある。  イノベーション・コースト構想の重点分野には農林水産業が含まれており、ロボット技術や環境制御システムなどの先端技術を取り入れた先進的な農林水産業の実現を目指している。国際教育研究拠点でも最先端の研究が進められる見通しだ。  新たな技術の誕生により生産管理、収穫、集出荷、加工、流通などが大きく変わる可能性がある。将来的な技術導入に備えるのは当然だし、現場のニーズを研究者に伝え、技術開発を積極的に働きかけることも大切になる。被災地発の新しい農業を実現し、将来を見通せるようにすれば、新規就農者の参入にもつながるはずだ。(早川 正也)

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