【再エネ規制条例】環境との調和重要だ(9月25日)
福島市は、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)や風力発電施設の設置を抑制する条例を来春にも制定する。同様の動きは県内外に広がっている。地球温暖化防止につながる再生可能エネルギーの普及が求められる中、環境への負荷の少ない整備の在り方を改めて考える契機にしたい。 条例では、施設の設置を広範囲に認めない禁止区域を山間部などに設ける。工事開始から撤去までの各段階での届け出や適切な管理を事業者に義務づける。「必要に応じて開発許可を取り消す」といった規定も盛り込む方向だ。 メガソーラーの設置工事が進む市内の先達山を巡っては、市民から景観悪化を指摘する声が上がっている。市は今年2月、不適切な事業計画に中止指導できるよう太陽光ガイドラインを改正した。条例を設けることで、指導に応じなかったり、近隣住民への事前説明や計画の積極的な公表・周知に消極的だったりする業者への行政指導の効力を強める。条例の策定は、市民の意見も積極的に聞きながら進めるのが望ましい。
規制条例は南相馬、伊達、川俣、矢吹、楢葉、大玉、西郷の7市町村がすでに定めている。制定の動きは今後さらに広がる可能性がある。 都道府県別では8県が条例を制定した。本県は、事業者への規制を強化した改正再エネ特措法の4月施行を踏まえ「国と連携して取り組む立場で、現時点で条例は考えていない」としている。しかし、再エネ事業の拡大が予想される現状では、県自らが一歩踏み込み、住民と事業者の相互理解を促す態勢を敷く必要もあるだろう。 県の再生可能エネルギー推進ビジョンと総合計画は、県内で使われるエネルギー量に対する再エネの割合を2040年度までに100%に引き上げるなど、本県を再エネ「先駆けの地」とする目標を掲げている。併せて、地域の理解を得られていない開発は認めない強い姿勢も打ち出すべきではないか。 宮城県は今年度、太陽光や風力、バイオマス発電設備の総出力に応じて法定外税を課す条例を施行した。地域の合意を得た事業と認定されれば非課税となる。隣県の先駆的な取り組みも参考に、本県独自の対応も検討するよう求めたい。(渡部総一郎)