【VWの本気が見える】フォルクスワーゲンID. 4 1stマックスへ試乗 5シーター・クロスオーバー 後編
機敏な操縦性と穏やかで上質な走り
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) フォルクスワーゲンID. 4の速度を上げていくと、風切り音が小さく、ロードノイズもよく遮断されていることがわかる。直進性も良いから、クルージング時の印象は穏やかで上質。訴求力は高い。 【写真】VW ID. 4と3 競合クロスオーバー純EVと比較 (110枚) 低い重心高に、正確な操舵感のある可変レシオのステアリング、トルクベクタリング機能などが融合し、機敏で良質な操縦性を実現している。試乗車にはアダプティブ・タンパーが組まれており、姿勢制御も素晴らしいものだった。 2.1tもある車重の影響で、カーブの続く道でペースを速めていくと、グリップの限界が先に来てしまう。だが、スタビリティ・コントロールが介入して電気モーターのパワーが絞られる頃には、かなりのコーナリングスピードに到達している。 純EVのクロスオーバーとして、動的性能は高い。後輪駆動として、運転も楽しめる。ただし、クルマを操っているという感覚的な濃度は薄い。 乗り心地には、不満を漏らすドライバーは少ないだろう。平滑なドイツの舗装なら。たとえ英国の多様性に富んだ路面でも、アダプティブ・ダンパーを選べば衝撃の吸収性に優れ、落ち着いた乗り心地を生んでくれそうだ。 ブレーキのタッチも良いし、よく効く。強い制動力を求めてブレーキペダルに力を込めると、しっかりした踏みごたえが返ってくる。 フロントがディスク、リアがドラムという設定に疑問を感じる人もいるだろう。フォルクスワーゲンは、回生ブレーキが機能するため、内燃エンジンと同等のブレーキは必要ないと説明する。「減速でブレーキを踏む回数は少なくて済みます」。と話していた。
トゥアレグ並みに広い車内
車内空間は、ゆとりがある。ID. 4はティグアンに近い車体寸法だが、車内はトゥアレグ並みに広いという。確かにフロントシート側は余裕たっぷり。頭上も横方向も、ひと回り大きなクルマのように感じられる。 一方、リアシートの頭上空間は平均的なもの。バッテリーの搭載によって、シートがフロントより上に位置しているためだ。足元の空間は広いけれど。 荷室容量は、531L。ティグアンより11L大きい。フロアはフラットながら開口部の位置が高く、重い荷物は少し頑張って持ち上げる必要がある。リアシートを折りたためば、1575Lにまで広がる。フロント側には、荷室は備わらない。 クロスオーバーとして、トレーラーも引っ張れる。ブレーキなしのもので、1000kgの重量まで対応するという。 インテリアデザインは、時流に合わせてミニマリスト。メーターパネルはモニター式で、ダッシュボード中央には、10.0インチか12.0インチのタッチモニターが据えられる。音声認識システムも付く。 ハッチバックのID. 3より、ワンランク高級なポジションとなるID. 4。ダッシュボードやドアパネルなど、インテリアの素材はID. 3より高水準なものが選ばれている。 オプションでヘッドアップ・ディスプレイの選択も可能。ナビゲート時に実像に合わせた矢印を表示する、拡張現実機能も実現している。コネクティビティ機能も備わり、モニターの表示も高水準なものだ。