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コロナだけでない中国「成長率目標なし」の内幕

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東洋経済オンライン

 「通年の経済成長の具体的な目標は出さない。世界での新型コロナウイルスの流行と経済・貿易情勢の不確定性が大きいからだ」   5月22日、中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が北京の人民大会堂で開幕した。もともと3月5日に予定されていたが、新型コロナ対策のため2カ月以上ずれ込んだ。会議冒頭に「政府活動報告」を行った李克強首相が、全世界が注目するポイントに言及したのは演説の開始から20分ほどたったころだった。 この記事の写真を見る

 李首相は「状況を総合的に分析して、新型コロナ流行の前に考えた目標を調整した。今年は雇用の安定を優先し、貧困からの脱却など『小康社会』の全面的な建設を実現するよう努力する」とも述べた。「小康社会」とは2020年までに建設すると中国共産党が公約する「ややゆとりある社会」のことだ。 ■コロナ前は「6%弱」が相場観  昨年は「前年同期比6.0~6.5%増」という目標に対して、同6.1%の着地だった。昨年暮れには、2020年の経済運営をめぐって財政出動を拡大してでも6%成長は保つべきだという「保六」派エコノミストと、構造改革優先派が激しく論争した。その結果、今年の目標は6%をやや下回る水準になるのではないかと見る向きが多かった。

 「社会主義市場経済」をうたう中国では、省レベルの地方政府も地区ごとのGDP(国内総生産)の実質成長率の目標を定めるのがならわしだ。かつては、その達成度が地方政府指導者の評価に直結していた。無駄なインフラ投資や不動産開発によって目先の成長率を上げようとする傾向を助長するきらいがあり、かねてから成長率目標の廃止論が唱えられてきたが実現しなかった。  むしろ地方政府にとっては、これがなくては仕事が始まらない。たとえば湖北省は、すでに省都の武漢市で新型コロナの感染が広がっていた1月15日に人民代表大会を終えた。無事にこの会議を終えることを優先して新型コロナへの対応が遅れたとの批判が集中し、後に省トップは更迭されている。このときに決められた今年の目標は7.5%で、昨年より0.3ポイント低い。ほかの省でも、今年は昨年よりやや低い数字を出すのが相場だった。

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