「高学歴」でも全然就職できない…プライドが高すぎる「中年男性」を襲う「絶望的現実」
学歴があれば「勝ち組」なのか? 月10万円の困窮生活、振り込め詐欺や万引きに手を染める、博士課程中退で借金1000万円、ロースクールを経て「ヒモ」に、日本に馴染めない帰国子女、教育費2000万円かけたのに無職…… 【写真】勝ち組だった「元CA」が採用面接で面接官に言われた「衝撃の一言」 なぜ高学歴でも生きづらいのか? 発売たちまち3刷重版が決まった話題書『高学歴難民』では、「こんなはずではなかった」誰にも言えない実態の数々に迫っている。
いつ難民化するのか?
『高学歴難民』で取り上げる数々の事例からわかるのは、大学院入学の選択が難民化の分岐点になっていることです。 モラトリアムとしての大学院生活だから苦しむことになる人もいれば、ちゃんとした人生設計・計画を立てていたとしてもそれが狂うこともあります。 〈一流大学でいくつもの学位を取得しながら、1000万円の借金返済のためにフリーター生活を続ける博士課程難民の栗山悟さんは、行く先々で嘲笑の的となり、貧困から抜け出したいと参加したグループでは、実家で衣食住に窮することのない生活状況を、甘えていて情けないと非難され、学歴がなくとも、著書を持ち、既に一定の社会的影響力を有する活動家からは、大学院生活という十分な時間と機会を与えられていたにもかかわらず、自分の足元にも及ばない存在だと侮辱されます。 「落ちるに落ちられない、上がるに上がれない」という栗山さんの嘆きは、社会的弱者として救済される権利も、社会人として自立した生活を送る権利も自分には与えられていないという絶望を感じます。〉(『高学歴難民』より)
中年男性高学歴難民の困難
高学歴難民を襲う絶望的な現実。 なかでも、『高学歴難民』で指摘されるのは、中年男性高学歴難民が直面する就職の困難さです。 〈高学歴難民が社会的に孤立する要因として、連帯することの難しさがあると思われます。 とりわけ、男性難民は学歴のプライドに加え、男としてのプライドの高さが連帯を妨げ、孤立を招いていると感じます。 (中略) 私は、刑務所出所者の就労支援も行っていますが、より就労のハードルが高いのは、圧倒的に、中年男性高学歴難民です。 会社が嫌がる理由は、肉体労働が続かない、事務処理能力が低い、コミュニケーションができず独断で進めてしまう、相手にミスがあれば過剰に責めるなど、こうした特徴は、加害者となった高学歴難民の事例からも読み取ることができるでしょう。 昼夜逆転の生活に慣れた高学歴難民に関して、規則正しい生活を送ってきた出所者より集中力に欠けると指摘されたことがあります。就労意欲も高いとは言えず、最も就職が難しい人々かもしれません……。〉(『高学歴難民』より) 男性ならではのプライドの高さ、連帯できなさ、中年という年齢の難しさ……この国では高学歴難民が孤立する構造が直視されていないといえるでしょう。 つづく「私立中高一貫の「お嬢様学校」を卒業、国際線CAになり「人も羨む順風満帆な人生」から一転、転職活動に失敗し「高学歴難民」に」では、「CAから検察官への華麗なる転身を夢見て」と題した40代女性へのインタビューから「高学歴難民」の壮絶な実態に迫る。
現代新書編集部