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なぜ僕たちは「社交ダンス」に魅了されたのか 周防正行×二宮敦人

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デイリー新潮

【対談】映画監督・周防正行×作家・二宮敦人(1/3)

 手を繋ぐのは当たり前、時に太ももが擦れ合っても、ニカッと笑顔で踊りを楽しむ。彼らがかくも社交ダンスに魅了されるのはなぜなのか。学生時代踊りに青春をささげ、『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』の著者である二宮敦人氏と、一大ブームを巻き起こした映画「Shall we ダンス?」の周防正行監督に語り合ってもらった。 ***

コロナのせいでどこまでも歩くように

二宮 はじめまして。先日は素敵な書評をいただき、ありがとうございます。母が監督のファンで、すごく驚いてくれたので、親孝行ができてよかったです。 (編集部注・周防氏は「波」4月号に「『Shall we ダンス?』で描けなかった異世界」として二宮氏の新刊『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』の書評を寄稿) 周防 いやあ、二宮さんの『最後の秘境 東京藝大』も面白かったですし、今回の学生競技ダンスの世界もずっと気になっていましたから。ぜひ会いたいと思っていたんですけど、コロナで3カ月越しになっちゃいましたね。 二宮 緊急事態宣言が出てから、毎日どのように過ごされていたんですか。 周防 やっぱり家にいる時間が長くなりましたね。たまたま映画「カツベン!」(2019年)を公開したばかりで、次作の企画段階ということもあり、本を読んだり、資料を整理したり、ひとりでできることをやっていました。あと、よく歩くようになりました。2カ月以上電車乗ってないです。長距離だったら車で行くし、10キロくらいは歩いちゃう。去年より1日の平均歩数が3千歩増えました。 二宮 むしろ健康的に。 周防 リモートで四股も踏んでいるんですよ。 二宮 え?  周防 縁があって、母校の立教大学相撲部の名誉監督をやっているんですけど、大学の構内は立ち入り禁止で、もちろん道場にも入れない。 二宮 相撲は究極の濃厚接触かも。

Zoomで毎週「シコふんじゃった。」

周防 だから、リモート稽古をしてるんですよ。毎週土曜日、OBと現役がそれぞれの部屋をZoomでつないで、声を出しながら四股を踏んだり、スクワットしたり。四股は200回くらい踏むかな。 二宮 まさかリアルに「シコふんじゃった。」(1992年)をしていらしたとは。 周防 ふふふ。リモート稽古は1時間ちょっとで、下半身トレと上半身トレを交互にやっていくんですけど、もうほんとに筋肉痛でボロボロになるくらい。ダンスも練習とか難しいですよね。 二宮 はい、この状況では部活もできませんし、学生だけじゃなくてプロもアマも大会がなくなってしまいました。ダンス教室も休むところが多くて……。習いに来ているおじいちゃんやおばあちゃんは1カ月くらいダンスしないと踊れなくなっちゃうんですって。ご本人たちも先生も歯がゆかったと聞きました。 周防 二宮さんは毎日どう過ごしていたんですか。 二宮 ずっと書いていました。取材が必要な作品は後回しにして、資料だけでも書ける中世アラビアを舞台にしたファンタジーをひたすら。書いて眠くなったら寝て、起きたら書いて、また眠くなったら寝るという生活を繰り返しているうちに起きる時間が夜中になったりして、どんどん現実世界から離れていきました。だから今は現世に帰ってきたような、精神と肉体のバランスをやっと取り戻しつつある感じです。   緊急事態宣言が解除されてすぐ、友人に誘われて久しぶりに映画を観に行ったんです。ぼくが知らない監督の知らない作品(編集部注・内藤瑛亮監督の「許された子どもたち」)だったので誘われなかったら観なかったと思うんですけど、これがすごく良くて。殻に閉じこもっていた自分と、殻の外の世界の広さを改めて感じたりして感激しています。

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