第93回選抜高校野球 東海大菅生、4強ならず 健闘たたえ温かい拍手 /東京
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会に出場した東海大菅生(あきる野市)は29日、準々決勝で中京大中京(愛知)に0―6で敗れ、2017年夏に続く甲子園4強はならなかった。エース本田峻也投手(3年)が初先発したが本来の投球はできず、打線も相手投手を最後まで崩せないまま2安打に封じられた。しかし4回目のセンバツで2勝を挙げた選手たちに、スタンドから健闘をたたえる温かい拍手が送られた。【林田奈々、荻野公一】 午後7時が近付き甲子園に照明が光る。6点を追う最後の攻撃。先頭の代打・沼沢大翔(3年)に続いて、千田光一郎(3年)、堀町沖永(3年)も追い込まれながら四球を選んで2死満塁。粘るナインに、ベンチから叫び声が上がり、スタンドの青いメガホンが揺れた。 初球を狙った小池祐吏(2年)の飛球は相手中堅手のグラブに収まった。小池の父でプロ野球DeNAコーチの正晃さん(40)は「これがまた一つ越える壁。(八回の安打は)自分らしいスイングだった」とたたえた。応援団長の田上裕生さん(3年)は「夏に戻ってくる」ときっぱり。 先発した本田は制球が定まらず、序盤から失点を重ねてしまう。辛抱の時間が続き、スタンドの部員たちは心配そうな表情。だが、ストライクが先行するとメガホンをたたいて本田を後押し。 すると、六回には初先発出場の橋本唯塔(3年)が中前に初安打。「差し込まれたが、振り切ったので落ちてくれた」。チームを勇気づけた。卒業生で東海大1年の中村愛熙さん(18)は「1点ずつ返せば取り返せる」と戦況を見つめた。 六回からは1、2回戦で好投した松永大輝投手(3年)が登板。直球と変化球をコーナーに決めてアウトを重ねる。父淳一さん(49)は「テンポ良く投げている。なんとか抑えてくれれば」。4イニングを0点に抑え、反撃を待った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇初先発の主戦、雪辱期す 東海大菅生・本田峻也投手(3年) 「実力不足、準備不足です」。甲子園3戦目で初めて先発した背番号1は試合後、悔しさをあらわにした。 本田峻也投手(3年)は体をひねり、インステップして投げる。独特のフォームで球の出所が見えにくい強みがある。一方で、試合終盤に球威が落ち、公式戦での完投は少ない。「完投できないエース」の言葉に我慢がならず、センバツの目標を聞かれるたび「完投、完封」と話した。 しかし同学年、同じ左腕の松永大輝投手が冬の下半身強化で成長し、練習試合で好投するのを見て、後を託す気持ちになった。これまで他の投手と投球の話をすることなどなかったが、フォームの改善点などを話すようになった。 肩の違和感から1、2回戦は先発せず、松永投手や鈴木泰成投手(2年)に助けられた。29日も六回から松永投手にマウンドを譲り、ベンチからエールを送った。「ライバルであり、頼りになる仲間」と最後の夏にもう一度、甲子園を目指す。【林田奈々】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽準々決勝第4試合 中京大中京 310020000=6 東海大菅生 000000000=0 〔多摩版〕