【プリンス東北プレーオフ】4年ぶりのプリンス東北復帰目指す遠野が、最短昇格目指した福島U-18に逆転勝利!
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ東北 プレーオフ(参入戦)回戦が12月13日、松島フットボールセンターにて4試合行われた。今年からは各県リーグ上位2チーム、合計12チームが3日間でプリンスリーグ東北昇格2枠を争う形となり、会場もJヴィレッジから宮城県内各地に移った。 【フォトギャラリー】福島ユナイテッドU-18 vs 遠野 ピッチ1の第1試合は福島県2位の福島ユナイテッドFC U-18と岩手県1位の遠野が対戦した。福島U-18は今大会初出場。2022年にチーム創設され、今年で3年目。今年初めて1年生から3年生まで3学年が全て揃ったチームだが、この3年間で福島県リーグ3部から1部までストレートで昇格しており、今大会を勝ち抜けば最短でのプリンスリーグ東北参入という状況だった。対する遠野は4年ぶりのプリンスリーグ東北復帰をかけての戦いとなった。 試合は序盤から激しく攻め合う展開となる。福島U-18は7分右サイドでボールを持ったMF宮﨑大智(3年)がゴール前へクロスを上げる。これを受けたMF長﨑皇(3年)がゴールを決めて福島U-18が先制に成功した。 しかし遠野は落ち着いて相手陣内へと攻め立てる。この日指揮を執った内田和茂コーチは「映像を見てて、相手のサイドバックの守備は、うちのサイドの選手であれば突破できるとスカウティングでは分かっていたのと、選手権の時からサイド攻撃のところは強みにしてたので、そこはうまく出しました」と振り返った通り左サイドから攻め立て、14分FW照井颯人(3年)からクロスを受けたMF千葉陸(2年)がゴールを決めて同点に追いつく。さらに33分には左サイドからゴール前へ切れ込んだFW細谷地亮介(3年)がゴールを決めて逆転に成功し、前半は遠野が2-1と1点リードで終えた。 後半は福島U-18が攻め立てる。ドリブルやパスで相手を剥がせるMF廣瀬英斗(3年)や、後半頭から投入されたFW佐々木健太(3年)がゴールに迫るが、遠野もDF谷地稜生(3年)、DF菊池晃太(3年)を中心に手堅い守備を見せる。そして80分左サイドからドリブルでゴール前に進入した途中出場のMF小倉悠慎(3年)がGKもかわしてゴールを決めてダメ押しの3点目。このまま3-1で勝利した遠野が2回戦東海大山形高戦へと駒を進めた。 遠野内田コーチは「選手権で(専大北上に)負けてしまって、3年生がモチベーションが難しい中でも残ってくれて、この大会のために最後までやってくれているというのはもう非常にありがたいですし、その力を十分出してくれたなと思っています」としっかり気持ちを切り替えて、この大会に臨んでくれたことを喜んだ。キャプテンで攻守に大きな存在感を見せたMF馬場大瀬(3年)は「チームの特徴として、攻められる試合でも守りきれるとか、その中で1点粘り強く取って勝てるというゲームを今年もこなしてきました」とここ2年東北高校サッカー選手権大会連覇を達成しているなどの経験もプラスになっている。14日の東海大山形戦に向けて内田コーチは「選手権に出るチームなので、勢いですとか気持ちの部分は 強いものはあると思いますが、それに負けないで、うちもプリンスに戻れるように疲労をしっかり取って明日に備えたいと思います」 一方の福島U-18石堂和人監督は「もう僕の力が足りなかったなという一言に尽きます。先制点を取った中で流れに乗せてあげられませんでした。その後失点させないような組み立てを僕自身が作ってあげられませんでした」と涙ぐみながら勝利に持って行けなかったことを悔やんだ。今年やっと3学年揃ったばかりのチームと言うこともあり、「この緊張感のある試合に慣れていませんでした。やっぱり高校サッカーの選手のみなさんは、選手権があったり、引退があったり、一発勝負の厳しさというのを知ってる中で、僕たちはクラブユースで、そのせいにしてはいけないんですけど。そこの緊張感というのをどうトレーニングゲームなどでどう組んであげられるかというところは、もっと見つめ直さなきゃいけないと思います」とまだ経験が不足しているチームに、どうやって勝負の厳しさを植え付けるかという課題が突きつけられた。 それでも、チーム創設わずか3年でこの舞台までたどり着けたのは驚異的だ。寺田周平監督率いるトップチームを彷彿とさせるようなパスワークやドリブルを交えた魅力的な攻撃も見せ、会場には多数の福島サポーターも詰めかけるなど、熱気や活気もある。キャプテンでチーム一期生のDF齋藤碧(3年)は「後輩たちも本当にうまくて、自分たちよりも強くなれるチームだと思うので、僕たちが成し遂げれなかったプリンス昇格という結果を残せると思うので、今から頑張ってほしい」と後輩たちへエールを送った。 (文・写真=小林健志)