「日本障害者オープンゴルフ選手権」が今年も開催。選手や裏方たちが語った、障害者ゴルフに対する取り組みや想いとは
障害者ゴルファーの日本一を決める「日本障害者オープンゴルフ選手権」が今年も開催された。第29回目を迎える本大会、ここまで長く続けられた理由、これからの課題は何か。「週刊ゴルフダイジェスト」の12月10日号では、裏方、コース、選手たち、それぞれの想いを聞いている。「みんなのゴルフダイジェスト」では、日本障害者ゴルフ協会の方たちの想いをお届けする。
裏方の原動力「継続は力、当たり前の言葉が大事です」(松田治子代表理事)
大会を主催する日本障害者ゴルフ協会(DGA)はNPO法人であり、本大会は基本的にボランティア活動で成り立っている。 「そもそもゴルフは運動学的にいうと、上肢の可動域を広げられる、体幹の捻転運動。アンジュレーションの多いコースを歩くことも含め、リハビリや健康のためにいいんです」と語るのは元国立身体障害者リハビリテーションセンター運動療法士長の水田賢二氏。この観点なくして、障害者ゴルフは語れないだろう。しかし協会・大会の発展とともに、競技志向の選手が増えてきたのも事実だ。 「『ゴルフをパラリンピックに』を掲げ、競技としてルールにのっとって行うこと、本人や家族ができるだけ楽しくゴルフをやること。両立は難しいけれどそういう環境作りをDGAが中心となってやっていきたいですよね」と語るのはご自身が障害を持つ子の親でもある真辺和美氏。 競技委員も務める石塚義将氏は競技者の観点からこう語る。「ここ数年の海外の障害者ゴルフの流れで、日本でも国際基準を取り入れる必要がある。そういう変化には対応したい。道のりは長いけど、障害者のプロがゴルフを職業として選べる時代がくるといいです」。 組織や大会が成長する過程には問題や課題が発生する。それぞれの想いが交じり合い、真摯な選択をするからこそ道は続く。 松田治子氏は「今大会は募集後2日間で定員に達した。来年からは予選会も行い(関東、中部、関西)、きちんとしたオープン競技にしたいと考えています。もちろん“参加することに意義がある”という方を振り落とすことではない。いずれにせよ私たちが止めると障害者ゴルフが途絶えてしまう。とにかく地道に続けることです」。