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麻薬密売から野生動物の違法取引まで: 新型コロナが組織犯罪に有利に働く理由

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The Guardian

【記者:Misha Glenny】  新型コロナウイルスの感染拡大とそれに続くロックダウンによって、犯罪組織とその活動は大きな混乱に見舞われた。最初は一般市民と同じような影響が出ていたが、次第にその状況は変化していった──コロナ社会に適用できるようになり、そして今では、未来に向けてもうけを出すシステムを構築し始めているのだ。  封鎖措置が敷かれる約1週間前、英国では麻薬の売人の多くが、コカイン、ヘロイン、大麻が「パニック買い」されていることに気が付いた。いわば麻薬が、英国の犯罪世界におけるトイレットペーパーとなっていたのだ。  コカインとヘロインの末端価格は、海外からのサプライチェーンに大規模な混乱が起きるだろうとの憶測の下、ロックダウン前に最も急激な上昇を記録した。一方、大麻取引は、おおむね影響を受けていない。「私のビジネスは大盛況。主に大麻、ベンゾ(ベンゾジアゼピン)が売れている」と話すのは、DWtripadvisorと名乗る密売人だ。「私が売っている大麻は国内で栽培されているので、今のところ価格は変わっていない」  そうした中、英国家犯罪対策庁(NCA)は、クラスA薬物(主にコカイン)の取引を減少させるのに著しい成功を収めている。ロックダウン以降、薬物25トンと現金1500万ポンド(約20億円)を押収しているが、これは今年の第1四半期の押収分を上回る規模だ。NCAが発表した声明によると、この背景には「新型コロナウイルス感染症による影響で、犯罪組織にとって現金を動かすリスクが高まった」ことがあるという。「ここ数週間で現金ベースのビジネスが多く閉鎖しており、組織犯罪グループは現金を隠匿したり資金洗浄したりする機会を失い、犯行で得た利益を隠すのが難しくなっている」  新型コロナの危険度が周知されると、英国、ドイツ、フランスにおける組織犯罪グループの活動水準は、すぐに20%ほど減少した。「犯罪者も人だから」と話すのは、NCAの経済犯罪部門を指揮するグレーム・ビッガー氏だ。「彼らは規則に従っている」と述べ、NCAの捜査対象となっている組織犯罪グループでは、一般よりも高い割合で基礎疾患に苦しむメンバーらが存在しており、自主隔離を真剣に受け止めていることを説明した。  組織犯罪がこの新しい状況に適応していることを示す最初の兆しは、インターネット上で見つけることができた。オンライン犯罪は過去数年、確実に増加してきたが、この傾向はコロナを期にさらに顕著になった。これについてNCAは、ロックダウン後わずか2週間でコロナ関連の詐欺サイトが急増したと報告し、個人用防護具やハンドジェルに始まり、蛇の油で作った治療薬に至るまで、ありとあらゆるものを売るサイトが約7万件出現したと指摘している。こうしたサイトで売られているものは、盗品か偽物、もしくは存在すらしないかのどれかだ。すなわち、新型コロナウイルスから自分を守ろうと必死な人たちから現金を巻き上げようという詐欺行為なのだ。

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