1962年に完成していた「東海道新幹線の一部」とは 世界初の偉業達成に貢献した「モデル線」
東海道新幹線は、1964年10月1日に東京~新大阪間が開業しました。しかし、この路線の一部の区間は、開業に先立つ1962年に、すでに車両が走行できる状態となっていました。 【画像】1962年に完成していた東海道新幹線の一部、「モデル線」の区間はどこ? 先行して建設されたのは、神奈川県内の一部区間。これは、前例のない時速200キロ以上での営業運転を実現するため、さまざまな試験を実施するために整備されたもので、「モデル線」、あるいは事務所が置かれた場所の名前から「鴨宮モデル線」などと呼ばれていました。 モデル線では、1962年6月26日に試運転開始式を執り行い、まずは約10キロの区間で走行試験を開始。同年10月21日には、綾瀬(小田急江ノ島線高座渋谷駅付近)から酒匂川西側(小田原駅の手前)までの約30キロの区間が完成し、全線での試験走行が始まりました。また、最初はゆっくりとした速度での走行でしたが、10月27日には時速200キロでの走行試験を開始。さらに1963年3月30日には、当時の電車における世界最高速度記録、時速256キロを達成しています。 そのモデル線は、建設が進む新幹線の前後の区間と接続した後に、単独の試験路線としての役目を終えます。その後は東京~新大阪間の一部となり、1964年10月の東海道新幹線開業を迎えました。 東海道新幹線の後に開業した東北新幹線でも、鴨宮のモデル線と同様に、小山駅の前後42.8キロの区間で「小山試験線」が先行して建設され、さまざまな試験が実施されていました。また、JR東海などが超電導リニアモーターカーの試験線として運用している山梨リニア実験線も、将来のリニア中央新幹線の一部。今はL0系による試験が繰り返されていますが、将来はここをリニアモーターカーの営業列車が通る予定です。
西中悠基