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借金、自殺、差し押さえ……大島てるが教える「事故物件を落札してしまった業者の不幸」

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文春オンライン

5人の死体を風呂場で夜通し……大島てるが明かす「平和な一軒家が事故物件になるまで」 から続く 【画像】この記事の画像を全て見る(5枚)  事故物件と競売物件には、不思議と大きな“重なり”があります。ここまで、「事故物件が競売にかけられたケース」と、「競売にかけられたことで、事故物件になってしまったケース」をお話ししました。今回も、その深い繋がりについてご紹介しましょう。(全2回の2回目/ 前編から続く ) ◆ ◆ ◆

執行官の前で焼身自殺した住人

 前回は立退きを巡る衝突が、凄惨な殺人事件に発展したケースをお話ししました。昭和58年(1983年)に起きたその事件では、落札者が直接、立退きを渋る住人との交渉を続けていましたが、手強い住人に対しては通常、強制執行の手続きがとられ、執行官という裁判所職員が登場します。  しかし、ここでトラブルが起きることも少なくありません。たとえば強制執行の当日に、立退きを拒否していた住人が執行官の前で焼身自殺してしまったケースもありました。  一方で、「落札後に敷地内から死体が発見された」という、かなり特殊な例もあります。10年ほど前の話ですが、東京都練馬区で、不動産業者が3階建ての物件を競売で落札しました。そこは家主が借金を返せなくなり、東京地裁が差し押さえた物件でした。  ここで説明しておきたいのですが、競売物件を入札時に内見することは事実上不可能です。住人がまだ普通に生活をしているため、気軽にその中にズカズカと立入ることはできません。その代わりに、執行官という裁判所の職員が物件を一通り調査し、不動産鑑定士が「この物件の価値は◯◯万円です」という資料を作成するのです。

 そして、築何年か、駅から徒歩何分か、といった基本的なスペックから、過去に自殺や殺人、孤独死があったのかという情報まで、その物件について何ら隠し立てすることない資料が公表されます。

車の中から発見された死体は……

 さて、その練馬区の物件は、事故物件ではない……はずでした。しかし、落札後に不動産業者が物件を訪れると、車庫に停められていた車の中から死体が出てきました。借金を返せなくなった家主が、その車内で自殺していたのです。  時間軸から考えると、借金に追われていた家主が、まず車内で自殺。その結果、当然ながら返済が滞り、本人との連絡も取れなくなったことから、債権回収のため物件が差し押さえられました。やがて執行官がやって来て、物件の状態を調査することになったわけです。その執行官は、“無人の家”を調べていたつもりだったのでしょう。しかし、実はそのときも、車庫の中には家主の死体があったのです。  その後、物件を落札した不動産業者は、死体を見つけられなかったのは調査義務違反ではないかと、国を相手に裁判を起こしました。事故物件であるとわかっていたら、もっと安く落札できたはずだ、という主張です。しかし、執行官にそこまでの調査の義務はないとして、不動産業者は敗訴しています。

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