エシカルと情緒的価値のコーヒーが好調 背景に家庭で過ごす時間の増加 小川珈琲
小川珈琲は、コロナ禍の影響で喫茶・カフェの店舗事業と業務用事業が苦戦する一方、ボリュームの大きい家庭用レギュラーコーヒーが好調に推移したことで、前期(8月期)売上高は前年並みで着地した。 藤村泰生取締役は「コロナ禍のような危機はこれまで体験したことがなく、我々の存在意義を再度考えさせられた。特に供給責任について従業員の健康と経済の両立の難しさを非常に痛感した」と振り返る。 このような社内事情に加えて、前期は4月を中心とした家庭用商品の需要急増で供給が一時期タイトになった。 これを踏まえ9月からの今期は「在庫の積み増しの方向を固めてお客様への供給責任を果たしていくことが大きな目的の1つになると考えている」。 家庭用レギュラーコーヒーについては「従来から取り組んできている情緒的価値・プレミアム・エシカル(倫理的)をしっかり強化していく」。 直近で手応えがあるのがエシカルで、6月頃から自然環境や生産者の生活に配慮した「小川珈琲店 有機珈琲」シリーズの引き合いが急激に強まっているという。 村上祐一総合開発部長は「これまでは小川珈琲というブランドの中で有機コーヒーが支持されてきたことがデータでみてとれたが、5月頃からの伸長の仕方をみるとエシカルのマインドを持たれた方に買われているように思われる。“たまたまこの期間がよかった”という伸びではなく、コロナ禍でマインドチェンジが起きているようだ。高付加価値のニーズが強まったことに加えて、倫理的購買へのマインドも上がってきていると感じる」との見方を示す。 5月初旬にはエシカル強化の一環として「ASUE Fairtrade Coffee(アスエ フェアトレード コーヒー ドリップコーヒー )20杯分」を一部ネット通販・生協宅配サービス・小川珈琲オンラインショップで発売した。 直近の家庭用レギュラーコーヒー市場についても「ドリップコーヒー(一杯抽出型)の伸びをレギュラーコーヒーの伸びが上回り、レギュラーコーヒーの中でもエシカルをコンセプトにした商品が伸長。特に認証系の有機コーヒーが好調に推移している」とみている。