韓ドラ界の“白衣の天使”パク・ボヨンとは? 大きな瞳が印象的な童顔フェイス…最新作では“安らぎ”のオーラ放つ名演<照明店の客人たち>
チュ・ジフンが主演を務め、“生と死の狭間”にいる人々を描いたストーリーが感動を呼んでいるヒューマンミステリー「照明店の客人たち」。大ヒットドラマ「ムービング」(2023年)のカンフルが原作&脚本を手掛けたことでも注目を集める同作で安らぎのオーラを放つのがパク・ボヨンだ。10代から映画やドラマで活躍し、“国民の妹”から“ロマンチックコメディー(ラブコメ)の女王”、そしてその先へと成長を遂げてきたボヨンのキャリアを紹介する。 【写真】ナース姿からはイメージがらり…!“絶対領域”がまぶしいパク・ボヨン ■「照明店の客人たち」では死者の声を聞く看護師役 第1週、ショッキングなホラー描写で視聴者を震え上がらせた「照明店の客人たち」。打って変わって11日に配信スタートした第2週では、死に直面した人々の“思い”に焦点が当てられ「こんなにも人間ドラマだったなんて」「ホラーかと思ったら愛の物語だった」と、その反転ぶりに驚きと感動の声が上がっている。 そんな同作でボヨンが演じているのは、臨死状態にある患者たちを静かに見つめる看護師ヨンジ。彼女自身が、かつて大きな事故に遭って生死をさまよう経験をして以来、生死の境目にいる人の姿が見えるという。常に死が身近にある集中治療室(ICU)で働き、現世に未練を残して旅立たねばならなくなった人々の声を丁寧に聞いては、安らぎを与えている。大きな瞳が印象的な童顔フェイスもあって、“白衣の天使”そのものといった雰囲気だ。 ■“国民の妹”から“ラブコメの女王”へ 1990年生まれで現在34歳のボヨンは2006年、16歳の時にドラマ「秘密の校庭」で本格的に俳優デビューを果たした。 2008年の映画「過速スキャンダル」では、チャ・テヒョン演じる主人公の娘を名乗って転がり込んでくる若きシングルマザーを好演。同作は韓国で830万人を動員する大ヒットとなり、ボヨンもこの作品で「第45回百想芸術大賞」や「第30回青龍映画祭」など名だたるアワードで新人賞を受賞。“国民の妹”と親しまれる存在へと躍進した。 2012年の映画「私のオオカミ少年」では、病気のせいで心を閉ざす少女スニを演じた。純真無垢なスニは、人間の言葉を話さないオオカミ少年チョルス(ソン・ジュンギ)との間に運命的な絆を築いていく。この作品は韓国ロマンス映画史上初の700万人動員を達成し、ボヨンも“国民の妹”から徐々にロマンス作品のヒロインへとイメージを変えていく。 ■ギャップの魅力でコメディエンヌの才能を開花 20代になると、持って生まれたチャーミングなルックスと子役時代から磨き続けた演技力を生かし、コメディー作品でヒットを飛ばすようになっていく。 ドラマ初主演作「ああ、私の幽霊さま」(2015年)では、肉食キャラの小悪魔女子幽霊に取りつかれた小心者ヒロイン、ナ・ボンソンを熱演。ボヨン自身の清純な魅力すらも逆手に取り、実力派俳優チョ・ジョンソク相手に投げキッスや色仕掛けで迫る強烈キャラクターを作り上げ、コメディエンヌとしての才能を発揮した。 158cmの小柄な体型を生かしたのが、ドラマ「力の強い女 ト・ボンスン」(2017年)。小さくて愛らしいビジュアルと怪力キャラのギャップに加え、2人の男性の間で揺れる女心も視聴者の共感を集めた。一方、高校3年から10年にわたる純愛を描いた映画「君の結婚式」(2018年)では、20代後半とは思えない爽やかな制服姿を披露。188cmの長身イケメン、キム・ヨングァンとの身長差30cmのロマンス演技がファンをおおいにキュンキュンさせた。 ソ・イングクとW主演したドラマ「ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた」(2021年)では、余命宣告されたヒロイン・ドンギョン役。絶望からの恋と再生を共感度たっぷりに演じ、“ラブコメの女王”としての座を揺るぎないものとした。 ■パク・ソジュンと体現した、ディストピアに差す“希望の光” 年齢を重ね、“国民の妹”から“ラブコメの女王”へと自然な流れの中で進化してきたボヨン。ここ数年で印象的なのが、立て続けに演じている“看護師”キャラクターだ。 未曾有の大地震後、倒壊を免れたマンションの中で繰り広げられる人間模様を描いた映画「コンクリート・ユートピア」(2023年)では、パク・ソジュン演じる夫ミンソンと力を合わせて過酷な状況を生き抜く妻ミョンファを演じた。生き残りを懸けた殺伐としたデスゲームの中、看護師でもあるミョンファが見せる「すべての人が助かるべき」という慈愛の精神が、作品にとって一筋の希望の光となっていく。この作品は、アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表に選出されるなど国際的にも高い評価を得た。 精神病棟で働き始めた心優しい看護師・ダウンを演じた主演ドラマ「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」(2023年)では、ダウンが患者たちの毎日を明るく照らす姿に癒やされる。ボヨンはこの作品で、「第3回青龍シリーズアワード」主演女優賞を獲得した。 ときに無力感も感じながら、患者たちを理解しようと奮闘するダウン。メンタル疾患に向き合う役柄を演じるにあたり、ボヨン自身にもさまざまな葛藤や自問があったようで、受賞式のスピーチでは涙をこらえながら「もし、暗く長い夜を過ごしている方がいらっしゃるなら、どうか最後まで耐えて、朝を迎えてほしい」と呼び掛ける姿が感動を呼んだ。 ■最新作でも看護師役「もう注射も打てる?」 最新作「照明店の客人たち」で演じる看護師ヨンジには、より深みとあたたかみが加わった“30代のパク・ボヨン”の魅力があふれている。 立て続けに看護師役を演じたことについて「照明店の客人たち」の制作発表会見では、司会者から「もう注射も打てるんじゃありませんか?」と冗談交じりに問われ、「実際に注射をすることはありませんが、注射の手順は覚えたので、自分が注射を打ってもらう時は、じっと針を見るようになりましたよ」とちゃめっ気たっぷりに回答。看護師役への自信と愛着ものぞかせた。 「照明店の客人たち」(全8話)はディズニープラスのスターで毎週水曜に2話ずつ配信中。12月18日(水)に配信される最終週では、さまざまな人々の物語が一つの大きなクライマックスに集約していく。そのすべてを見てきたヨンジは、生と死の狭間にいる人々の身に起こるどんな奇跡を目撃することになるのだろうか。 年を経るにつれ人間的魅力を増してきたボヨンの全盛期はまさにこれから。見る人に安らぎを与えるキャラクターを演じた「照明店の客人たち」を経て、この先はどんな作品を見せてくれるのか期待が高まる。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部