【損切りとは何が違う?】年内に使いたい「損出し」のメリットと具体的な手順を解説 含み損があるけど手放したくない保有銘柄を活用
損切りで節税する方法に加えて、保有銘柄を手放すことなく税金を安くする方法がある。それが損出しによる節税だ。それはどのようにおこなうのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第120回は、「損出しを使った節税」について。 【写真】個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
* * * 年末に向けて、株や投資信託で含み損を抱えている場合、「損出し」をして節税することができます。売る気はないけど、含み損を抱えている人は、ぜひ年末の「損出し」で節税しましょう。
損出しの条件
「損出し」とは、含み損となっている株や投資信託を売却して、損失を確定することです。つまりそれは「損切り」では?と思うかもしれませんが、売って手放す「損切り」とはちがい、「損出し」は売ったあと、また同じ株を買い戻します。年内にいったん損失を確定することで、確定している利益や配当にかかる税金を相殺して、節税することが目的です。 「損出し」が有効になる条件は以下のふたつです。 【1】株や投資信託の譲渡益、もしくは配当金で利益が確定している 【2】含み損(買ってから価格が下がって、マイナスの状態)の株や、投資信託をもっている
損出しのメリット
「損出し」は確定した利益に対してかかる税金を、含み損となっている株や投資信託を売却して、損失を確定し、トータルの利益を減額→節税する技です。 たとえばA株で50万円の利益、B株で30万円の含み損で年を越した場合、2024年の税金は、利益の50万円に対して20.315%で10万1575円です。一方、損出しをした場合、利益は、50万円-30万円で20万円になるので、税額は、4万630円となり、6万945円もお得になります。
損出しの手順
「損出し」は、含み損の株をいったん売って、買い戻しますが、同じ日に買い戻してしまうと効率的な節税ができなくなります。 たとえば、1000円で買った株を、800円で売って、同じ日に800円で買い戻した場合、通常の感覚なら、200円の損失となります。しかし、特定口座では、同じ銘柄を同日に売買した場合、「買い」が先にあったものとしてみなされ、平均取得単価が計算されます。そのため、この場合、1000円と800円で同じ株を買って、それを800円で売ったとみなされます。損失額は、平均取得株価900円で、売却額800円なので100円です。本来は200円の損失なのに、しくみ上、100円の損失となってしまい、節税効果が薄くなってしまいます。 これを避けるために利用するのが、信用取引をつかったクロス取引です。
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