【インタビュー】映画『ヤクザと家族 The Family』藤井道人監督「綾野剛さんと話したこと、一つ一つの中にヒントがあった」気鋭の映画監督が30代の今、思うことは
【インタビュー】映画『ヤクザと家族 The Family』藤井道人監督「綾野剛さんと話したこと、一つ一つの中にヒントがあった」気鋭の映画監督が30代の今、思うことは 2/2
-それぐらい感性が合ったと? 合いました。あとは、そういう俳優部との出会いを、僕が待っていたというのもあって。例えば今回、自分の兄貴分的な方で言えば、剛さんはもちろん、舘さんや(北村)有起哉さんとの出会いも大きかったです。 -綾野さんも、雑誌・キネマ旬報のインタビューで「(名コンビだった)黒澤(明)と三船(敏郎)みたいに、藤井・綾野で毎年1本ずつ撮っていきたいと思うぐらい」とおっしゃっていますね。 そういう付き合いになるんだろうな…という予感はあります。ファンの皆さんには、楽しみにしておいてもらえるとうれしいです。 -キャリアを積み上げてくる中で、社会に対する意識が芽生えてきたということですが、今はちょうどコロナ禍という大変な状況の中、さまざまな問題が表面化しています。今後、そういう題材に取り組むつもりはありますか。 今はありません。人間がこれまで長い時間を地続きで生きてきた中で、コロナは横から来た追突トラックみたいなものなんです。今、この人生を書いていたのに、急にボーンときて、その火で火事が起きているような状態というか。そこにまだ人間ドラマも見いだすことができず、今は「つらい」としか言えない。救いがなさ過ぎて、飲食業に携わっている仲間のことを考えても、「コロナ禍の中をこうやって生きていこうよ」ということを僕は今、映画で語ることができません。だから、足踏みしているところで…。現在の話を描けるのは、もっと先になるんじゃないかな…と。そういう遅さは自分の弱点かもしれませんが、もしやるのであれば、しっかり勉強してからにしたいと思っています。 (取材・文・写真/井上健一)