片思いをこじらせ34歳まで交際経験ゼロ。“結婚は人生の墓場”だと思っていた私が、幸せな家庭を築くまで【わたしたちの大人婚物語】
婚活疲れが吹き飛んだ〈同い年合コン〉
片思いの間も、合コンや街コンに参加して新しい出会いも求めたけれど、ただ楽しいだけで終わってしまった。 「彼を諦めてからはマッチングアプリも始め、週1回のペースで色んな人とご飯に行ったのですが、ピンとくる人にはめぐり合えず。こんなんでほんまに見つかるんかな……と段々疲れてきたころ、久しぶりの合コンに誘われました」 3対3で全員34歳という合コンは、最初から話が弾んで大盛り上がり。婚活疲れが吹き飛ぶ楽しさだった。 「でも、その中で一人だけ、女性陣とあまりしゃべらない男性がいました。この人は何しに来たんだろう、プライド高そうな人だな、と思いつつも顔はダントツでタイプでした(笑)」 合コンから二日目、その男性から「一緒に山登りいきませんか」とLINEがくる。Tさんが「趣味は登山」と言ったのを聞いていたらしい。 「その一瞬で恋に落ちました。ご飯に行きましょう、はよくあるけれど、山登りに誘われたのは初めて。クールに見えて、ちゃんと私の話を聞いていたギャップにやられたんです」 その男性がMさん。二人は3回目のデートで約束通り、山登りをした。 「おにぎりを握って持っていったら、うまいうまい、と喜んでくれました。帰り道に温泉に寄ることになったのですが、急だったのでシャンプーセットがなかったんです。私は気にせずのんびり女湯に入っていたのですが、彼は自販機で買ったシャンプーセットをなんとか私に届けようと、従業員さんにお願いするなど頑張ってくれたらしくて。なんて優しい人なんだろうと、感激しました」
決め手は、34歳で始めた一人暮らし
5回目のデートは7月7日、七夕の日だった。 「『七夕やなあ、なんかええことあるかな~』と言ったら、初めて私の家まで送ってくれ、一緒に朝まで過ごしたんです。じつはそれまで実家に住んでいて、このままではあかん、と34歳の自分への誕生日プレゼントとして一人暮らしを始めたばかりだったんです。今考えると、そのことも交際を後押ししてくれたと思います」 TさんとMさんは正式にお付き合いをすることになった。 「彼は元々インドアだったのに、アクティブな私に合わせて毎週のようにピクニックや登山、小旅行に付き合ってくれたんです。私の生活を何一つ変えずに一緒に楽しんでくれました。彼氏がいなくても友達と楽しくやってきましたが、守られているという安心感と、二人だからこその楽しさと……。恋人関係ってこんなに幸せなんだ!と、初めてのお付き合いを満喫しました」 付き合って5カ月、35歳の誕生日が近づくにつれ、この人と結婚したいという気持ちが強くなった。かつては「人生の墓場」だと思っていた結婚だったけれど……。 「その頃には父もアルコール依存症を克服し、姉たちも結婚して幸せな家庭を築いていました。何よりMとずっと一緒にいたい思いで、私は今すぐにでも結婚したかったんです」 Mさんに前のめりで結婚する気はあるのか尋ねると、「Tちゃんの結婚したいっていう気持ちは、おままごとみたいや。もうちょっと考えたい」と保留にされた。 「めっちゃショックでした。先に結婚していた姉に相談すると、『Mくんの言うてることもわかる。そんなに焦らんともうちょっと待ってみ~』と。なんとか自分の気持ちをなだめていました」 35歳の誕生日は過ぎ、翌年の8月。二人で登った山頂でMさんが「結婚してください」とネックレスをくれた。もちろん返事はOK。記念写真を撮ってもらおうと他の登山客に声をかけると、「せっかくなんで、もう1回やりましょう!」と動画を撮ってくれた。翌月に入籍し、36歳の誕生日直前に式を挙げた。 「どうしても35歳のうちに結婚したかったんです。なんとかギリギリセーフ。山頂で撮ってもらったプロポーズ動画も流し、友達みんなも来てくれて、本当に最高の結婚式でした」