JLOCが30年目で悲願の初戴冠。元嶋佑弥の快走と小暮卓史のオーバーテイクでVENTENY Lamborghini GT3が逆転王者に輝く【スーパーGT最終戦GT300決勝レポート】
12月8日、三重県の鈴鹿サーキットで2024年スーパーGT最終戦となる第5戦『SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL』の決勝レースが行われた。GT300クラスは88号車VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がポール・トゥ・ウインを飾り、4位チェッカーの65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)をランキングで上回る逆転チャンピオンに輝いている。 【写真】ランキング2位から逆転GT300チャンピオンに輝き、涙を流す元嶋佑弥と小暮卓史(VENTENY Lamborghini GT3) 8月31日~9月1日に行われるはずだった第5戦の開催延期で、12月の鈴鹿サーキットでシーズンを終えることになった2024年のスーパーGT。迎えた日曜決勝日も晴天に恵まれたが、風が吹くと寒さを感じる一戦となった。 決勝レースは12時40分にパレードラップからフォーメーションラップという2周が予定されていたが、タイヤの温まりなどが考慮され1周のエクストラフォーメーションラップが追加された後にスタートが切られた。 1~2コーナーにかけてサイド・バイ・サイドで各車なだれ込んでいくが、上位勢で大きな順位変動は起こらず。ポールポジションの88号車VENTENYランボルギーニは元嶋佑弥がスタートドライバーを務め、逆転タイトルに向けて好スタートをきった。 その後方では、ウォームアップ走行でトラブルに見舞われながらもマシンを修復した61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人に、大逆転王者に優勝するしかチャンスが残されていない2号車muta Racing GR86 GTの平良響が0.5秒差に迫るも追い抜くまでには至らず。 その後は膠着状態が続いていたが、5周目あたりに首位をいく88号車VENTENYに対し『スタート手順違反検証中』が提示。さらにレース10周目のデグナーカーブで87号車METALIVE S Lamborghini GT3がGT500の17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTと交錯したかクラッシュし、JLOCに暗雲が立ち込める事態に。 このクラッシュはレーシングアクシデントと判定されたが、87号車はリタイアとなり、車両回収のためにフルコースイエロー(FCY)が導入される。また、そのリスタート後に88号車VENTENYのスタート手順違反検証中が『黒白旗(フォーメーションラップ時の速度管理)』となり、ひとまずペナルティなどは科されないことに。 15周目にはポイントリーダーの65号車LEONがピットイン。タイヤ無交換で篠原拓朗から蒲生尚弥にドライバーチェンジしコースへ。そのタイミングで2号車mutaは61号車BRZをオーバーテイク、2番手に浮上する。 トップ走行の88号車VENTENYは18周目にピットイン。こちらはリヤタイヤ2本交換を行いコースに戻るが、タイヤ無交換の88号車VENTENYが5秒後方に迫る状況に。順位上でもタイヤ無交換のアドバンテージは大きいのか、この時点で31号車apr LC500h GTが88号車VENTENYより前という状況になる。 そしてレース27周目、2号車mutaがGT300で最後のピットイン。こちらもタイヤ無交換で堤優威がコースに復帰すると、31号車LC500hの前に出ることに成功し、同時にGT300のクラストップに浮上した。 ただ、やはりタイヤ無交換はレース後半に向けてペースが鈍り始める。対してペースを上げて追い上げを開始したのは、リヤ2本交換を選択した88号車VENTENYの小暮卓史。まず31号車LC500hをホームストレートでかわして2番手に上がった小暮は、その勢いのまま2号車mutaを追う。 当初5秒以上あった両車の差は数周で1秒以内に接近。そして迎えた残り10周、ついに88号車VENTENYの小暮が2号車mutaの堤をホームストレートで捉えオーバーテイクに成功する。トップに立った88号車VENTENYは、65号車LEONが4番手のままだとポイントランキングで逆転する。 65号車LEONの蒲生も前2台を上回るペースをみせるが、追い抜くことはできず。レースは88号車VENTENYがGT300クラスのトップチェッカーを受けると同時に、逆転で2024年のシリーズチャンピオンに輝いた。 1994年のJGTC全日本GT選手権時代からシリーズに参戦するJLOC、そしてチームを率いる則竹功雄代表にとっては30年目で悲願の初戴冠。元嶋は自身初、小暮にとっては2010年にGT500クラスで王者獲得以来のチャンピオンとなり、柳田真孝と大嶋和也に続く3人目の“両クラス制覇”を達成した。パルクフェルメでのドライバーふたりと則竹代表の目には光るものがあった。 2号車muta GR86はチャンピオンには届かなかったものの、スピードを見せる2位フィニッシュ。3位には31号車LC500hが入り、65号車LEONは13秒差の4位となった。 [オートスポーツweb 2024年12月08日]