不足していると残念!? タンパク質と美肌作りの「深―い関係」
タンパク質には体に欠かせない働きがある。タンパク質のスゴい働きを知れば知るほど、不足しているといかに残念かがわかるはず!女子栄養大学栄養学部教授 上西一弘さんにその働きについてうかがった。
タンパク質とアミノ酸の関係は?
まず知っておきたいのが、タンパク質の構造だ。 「タンパク質は、ひもをぐしゃぐしゃにしたような形をしていて、このひもを構成しているのがアミノ酸です。人体をつくるタンパク質の種類は5万~10万ともいわれますが、その構成単位となるアミノ酸はたった20種類。 これらが目的に合わせて数十万~数百万個結合し、5万~10万種類ものタンパク質になるのです。20種類のアミノ酸は、体内で作れず食品からとる必要がある“必須アミノ酸”と、体内で作れる“非必須アミノ酸”とに分かれ、これらのひとつひとつにも重要な働きが。特に必須アミノ酸は、食事で補うことが大切です」(上西先生)
美肌のカギを握るのは真皮のタンパク質のクオリティ!
肌の老化を防ぐには、化粧品やエステより、まず皮膚のタンパク質の“質”を高めることが先決! 「皮膚は外側の“表皮”と、深部の“真皮”という層に分かれています。表皮の最も外側の角層を作る角層細胞は、内部にケラチンという線維状のタンパク質を大量に抱え、外的刺激から肌を守るバリア機能を担っています。また、真皮には、肌のハリを保つコラーゲンや、それをつなぎとめ、肌の弾力を保つエラスチンなどが存在しますが、これらもタンパク質です。 さらに、同じく真皮に存在し、水分を保つ役割のあるヒアルロン酸を作る酵素もタンパク質。つまり、加齢とともに目立ちはじめるシワやたるみ、乾燥を防ぎ、ハリと弾力、潤いのある肌を保つには、真皮のタンパク質のクオリティがカギ。 食事からとるタンパク質が不足すると、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の合成量が減り、クオリティが下がってしまうので要注意!タンパク質なしでは美肌は保てないのです」 タンパク質と聞くと筋肉のイメージが強いが、美肌作りにも欠かせず、加齢による肌の衰えが気になる40代からはよりしっかり取るべきことがわかった。そして、実は心の健康にも欠かせないという事実が! 次回はタンパク質不足が影響する心身の健康についてお伝えしよう。 今回の話を伺った先生 上西一弘さん 女子栄養大学栄養学部教授。大学のゼミでは選手のパフォーマンスが上がり、勝てる体をつくるためのスポーツ栄養学を研究し、指導にあたる。著書に『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』(池田書店)など イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/和田美穂