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ビールでもやりたくなった。琴奨菊―玉鷲の相撲は両力士に敢闘賞やりたいくらい最近では出色の一番【北の富士コラム】

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中日スポーツ

◇27日 大相撲7月場所9日目(東京・両国国技館)

 9日目の土俵は、激しい相撲が多く見られた。力士たちもようやく体が十分に動くようになったようだ。  特に後半の相撲が面白かったので、白鵬と碧山の結びの一番から見てみよう。星の上がっていない碧山だけに、白鵬の楽勝とのんびり見ていたが、どうしてどうして碧山の重い突っ張りに、白鵬も面食らったように攻め立てられて大ピンチ。それでも、冷静さは失わずとっさにはたき込んで難を逃れた。珍しく白鵬も土俵下まで転落したほどだから、よほど碧山の押しが強かったのだろう。少し肝を冷やしたわな、白鵬。  朝乃山も肝を冷やすどころか、九死に一生の相撲であった。これも朝乃山が相四つなので、取り易い相手とみていたが、隠岐の海が猛然と攻めて出た。十分の左上手を取って体勢的には悪くない朝乃山は、不意を突かれて土俵際で残すのが精いっぱい。隠岐の海は勝機とばかりにさらに攻め立てる。朝乃山は命綱の左上手から捨て身の上手投げ。軍配は朝乃山に上がったが、当然のように物言いがついて取り直しとなった。  私は朝乃山の方が少し有利と見たが取り直しに文句はない。取り直しの相撲は、右四つから隠岐の海の動きを封じ、落ち着いて上手投げ。朝乃山にとってこの一番は貴重な一番になったと思われる。白鵬が負ける前に星を落とすと、流れは一気に白鵬に流れるところであった。  御嶽海が初顔の霧馬山に敗れて2敗となり、勢いを完全に失って早くも優勝争いから脱落。代わって浮上してきたのは正代である。まるで人が変わってしまった。白鵬も朝乃山も、予想外の正代の出現に気を引き締めているだろう。  貴景勝と炎鵬の一番も物言いがついた。相撲は一方的なものだったが、勝負として見た場合はまことに微妙な判定と言える。貴の突きに対し、土俵際で炎鵬が突き落としを見せている。足はまだ土俵を割っていない。貴の体は土俵を半分出て左足は大きく踏み越し、先に土俵外に着地している。私は取り直しが妥当と思ったが、判定は変わらなかった。私のひいき目の間違いかもしれないが、炎鵬の相撲は並の力士とは違う。  前半の土俵は照ノ富士の強さが光った。大関時代に戻ったかのような堂々たる相撲だった。琴勝峰は2敗を守ったが、内容は終始、攻められ続けやっと突き落とした。それでも、勢の出足をよく回り込んだのは何と言っても足腰の強さである。時にはこんな相撲も良いのではないか。  兄弟子の琴奨菊と玉鷲の相撲は、まことに素晴らしい相撲であった。今場所どころか最近の相撲の中でも出色の一番である。頭と頭で当たり合うこと5回。すごい音が場内に響いた。若い力士はこの両力士を大いに見習ってもらいたい。この両力士に敢闘賞をやりたいくらいである。  いいものを見せてもらったので、軽くビールでもやりたい気分です。(元横綱)

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