コロナ禍で登山客迎える大峰山系「弥山小屋」評判の手料理は“レトルト”に...それでも果たした役割
MBSニュース
近畿最高峰、奈良県の大峰山系に「弥山小屋」という登山客に知られた山小屋があります。2020年はコロナと向き合いながら秋を迎えました。
奈良県天川村。11月上旬、秋が深まるにつれ、色づいた山が登山客を惹きつけます。
【登山客】 「日ごろのこと、憂さを忘れて、心が洗われるようです。」 「黄色、赤色の鮮やかさ。あまりよそには無いですね。」
多くのハイカーが訪れる大峰山系。険しい登山道を3時間登ると、標高約1900m、大峰山系唯一の山小屋「弥山小屋」があります。天皇陛下も皇太子時代に宿泊した人気の山小屋ですが、2020年は状況が一変しました。
「弥山小屋」の管理人をつとめる坂口孝文さん。1年で最も賑わうゴールデンウィークは緊急事態宣言のため営業を休止。6月に営業を再開しましたが、ノートを開くと…。
(弥山小屋 管理人 坂口孝文さん) 「6月、7月…。これ真っ白な状態だったんですよ。予約が無くて。」 新型コロナウイルスの影響で客は約6割も減りました。それでも坂口さんは一人、泊まり込んで、山小屋を守ってきました。 (坂口孝文さん) 「弥山の山小屋でクラスターが発生したとなったら、営業中止しなければ仕方ない。それが一番怖いなと。」
山小屋は、けが人や病人などの避難場所の役割もあり、絶対に閉めるわけにはいきません。感染予防の徹底も心がけています。
弥山小屋が人気の理由は、その立地にあります。歩くこと30分で近畿最高峰「八経ヶ岳」に登頂することができ、素晴らしい眺望が眼下に広がります。
(ハイカー) 「紅葉の中を、落ち葉の中を歩いてきて、すごく気持ちが良かったですね。」
登山を終え、山小屋に入るハイカーたち。待ちに待った夕食は、感染リスクを減らすため、評判の手作り料理ではなくレトルトカレーです。
【カレーを食べるハイカー】 「これが山なんですよ。」 「ね、そうですね。」 「カレーを提供したり、泊まるスペースを作ってくれたりしたことは、本当に感謝です。」 本来200人が宿泊できますが、密を避けるため上限は30人。この日は予約が全て埋まり、山小屋に賑やかなひと時が戻りました。