今秋、13年ぶりに実施! 宇宙飛行士選抜試験を30代で経験した男が語る「夢の叶え方を変える方法」
昨年10月、文部科学省とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が2021年秋頃に宇宙飛行士を若干名募集すると発表した(*)。2008年以来、実に13年ぶりとあって、相当な倍率になると予想されている。 (*)JAXA「宇宙飛行士募集に関する資料集」 そんななか、注目を集めているのが昨年12月に発売された『宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶』だ。著者は、宇宙船「こうのとり」のフライトディレクタとして知られ、前回試験のファイナリストでもある内山崇氏。 「この10年余りを振り返ることは、僕にとってとても勇気のいることでした」と語る氏に、謎に包まれた宇宙飛行士選抜試験についてお話を伺った。 * * * ――前回試験のファイナリストが当時全員30代というのは正直意外でした。 内山 社会人としていろんな経験を積んでいることも要因として挙げられますが、宇宙の放射線の影響が大きいんです。年齢が若いほど、放射線の影響を強く受けるため、宇宙に長期滞在できないんですよ。だから、若くて元気な20代が有利というわけではありません。 でも、人間が月や火星に移住する際には技術でクリアしなきゃいけない問題なので、今後、何かしらの防護策が出てくると思います。 ――内山さんは32歳のときに選抜試験を受けたんですよね。 内山 自分としては、最高のタイミングだと思っていました。社会人になってから10年近くたっていましたし、2、3年後に再募集されるとは考えにくかったので、これを逃す手はないなって。実際、「チャンスがあれば受けよう」と思い続けていましたから。 ――当時、内山さんは日本初となる無人ランデブー宇宙船「こうのとり」のフライトディレクタで大忙し。宇宙飛行士候補に選ばれれば、その大事な時期にプロジェクトから抜けざるをえない。結果、上司は「このクソ忙しい時期に抜けるのっ!?」という反応だったそうですね。