「失職ではなく辞職が筋」、メディアに出続け「違和感」…斎藤知事の対応に県内首長ら批判
失職して出直し知事選に立候補する意向を26日に表明した兵庫県の斎藤元彦知事は、記者会見で3年間の県政運営の実績を強調した。一方で、県議会の全会一致で不信任決議が可決されたことについて「本当にそこまでいかなければいけなかったのか」などと思いを吐露した。知事選の結果にかかわらず、百条委員会や第三者調査委員会の調査には協力すると明言。告発文書を作成した前県西播磨県民局長の男性職員が7月に亡くなったことに「大きな責任がある」としつつも、道義的責任については最後まで言及を避けた。
斎藤知事の判断について、県内の首長も反応した。 神戸市の久元喜造市長は定例記者会見で「知事として主体的に責任ある県政運営をしてきたのか、自分の言葉でしっかり説明してもらいたい」と厳しく指摘した。 約3年の斎藤県政を振り返り、県立大無償化に触れ、「非常に不適切な政策。なぜ、県立大だけを無償化するのか」と批判。政策面で大阪府と歩調を合わせていたとの認識を示し、「大阪と連携、協調することは大事だが、言いなりになるということではない」と苦言を呈した。
知事選に向け、「自身の県政をどう総括するのか。その上で政策展開をどうしようとするのか、明確に語ってもらえることを期待したい」と話した。 県市長会長の酒井隆明・丹波篠山市長は「失職ではなく辞職が筋。県民のことを第一に考えると、百条委員会で知事の過ちが指摘されたときなど、速やかに辞職するべきだったと思う」との見解を示した。 市長会は8月、早期に問題を収束させるよう知事に求める要望書を提出。知事が議会を解散しなかったことについては、「県民の声を受けて県政の停滞を解消するために不信任決議を可決した議会は正しかったと思うし、解散されずによかった」と話した。
「誇りある県政を取り戻せるよう、市長会としても尽くしたい」と述べた一方で、出直し選挙に臨む知事の意向には「知事の判断なので」と話すにとどめた。 川西市の越田謙治郎市長は不信任決議後の斎藤知事の対応を厳しく批判した。「内部告発の対応について自己正当化したり、検証不可能な公約達成率などをアピールしたりと、メディアで一方的な発言を繰り返した。政治家として、知事として不誠実だ」と強調。「選挙が近くなっている時点で、政治利用とみられてもしかたない。メディアに出続けたうえでの失職、選挙に違和感がある」と述べた。 知事選については「知事の資質と組織マネジメントが問われる。新たなリーダーの下で透明性の高い、風通しのいい、職員の働きやすい県庁になるかどうか。県民にとって機能する県政なのかが最大の争点になる」との考えを示した。