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「真の三冠王」柳田悠岐が歩む最強打者への道。OPSは王貞治、バースを捉える“神の領域”に

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THE DIGEST

 まさか、30歳を過ぎてさらに進化するとは恐れ入る。ソフトバンクの柳田悠岐が、球史に残る大打者へと成長を遂げている。 【動画】千賀滉大もドン引きする、柳田の“変態片手打ちホームラン”!  11日のオリックス戦では身体が泳ぎ、ヘルメットが脱げ落ちながらも片手一本で右翼スタンドへアーチを描いて2本塁打5打点の活躍。今季の成績はリーグ1位の打率.385、1位タイの14本塁打、4位の35打点。浅村栄斗(楽天)が50打点と異常なペースで積み上げているため、三冠王の大きな障壁となっているが、まだまだ射程圏内と言えるだろう。  もっとも、柳田の凄さを、いわゆる打撃三冠(打率・本塁打・打点)で語るのは、やや不十分であるように思う。このカテゴリーで柳田がトップに立ったのは、トリプルスリーを達成した2015年と18年に首位打者を獲得した2回“だけ”。これまでの活躍を思えば、意外に「少ない」と感じなくもない。  語り尽くされた議論ではあるが、そもそも打率は単打も本塁打も同じ安打と見なしているため、どれだけ長打を打っているのかは分からないし、野球の原理(3アウトで攻守交代)を考えた際に重要と言える出塁能力も反映していない。また打点の多寡も、自身の前にどれだけの走者がいるかに依存する面も強く、「打点が多い=強打者」という図式は必ずしも成り立たない。  そうした点から、メジャーでは「出塁率」「長打率」「OPS」の3部門を「真の三冠」として見なす向きがある。もちろん、それぞれに課題を抱えているものの、打率などよりも得点との相関性が高く、従来の打撃三冠よりも打者の能力を測る上で優れている指標だ。果たして今年の柳田は、“裏三冠”においてプロ野球史に残るであろう圧巻の成績を残している。   ▶出塁率シーズン記録 1位:王貞治(1974年)/.534 2位:王貞治(1973年)/.504 -位:柳田悠岐(2020年)/.500 3位:王貞治(1966年)/.499 4位:王貞治(1965年)/.493 5位:王貞治(1967年)/.490 ▶長打率シーズン記録 1位:バレンティン(2013年)/.779 2位:バース(1984年)/.777 3位:落合博満(1985年)/.763 4位:王貞治(1974年)/.761 5位:カブレラ(2002年)/.756 6位:王貞治(1973年)/.755 -位:柳田悠岐(2020年)/.750 7位:落合博満(1986年)/.746 ▶OPSシーズン記録 1位:王貞治(1974年)/1.293 2位:バース(1986年)/1.258 3位:王貞治(1973年)/1.255 -位:柳田悠岐(2020年)/1.250 4位:落合博満(1985年)/1.244 5位:バレンティン(2013年)/1.234  出塁率.500は歴代3位、長打率.750は7位、OPS1.250は4位。自身が敬愛してやまない王貞治、“三冠王”のバースや落合博満、プロ野球シーズン本塁打記録保持者のバレンティンという、球史に燦然と輝く打者にまったく引けを取らない成績を残しているのだ。  中でも圧巻なのは「出塁率5割」。過去に王のみが踏み入れることを許された領域に片足を突っ込んでおり、是非とも今年の柳田には期待したいカテゴリーである(ちなみにメジャーではのべ19回達成されており、歴代最高はバリー・ボンズが記録した.609!)。  とはいえ、柳田が「真の三冠」で好成績を残しているのは、今年に限った話ではない。15年に出塁率.469、長打率.631、OPS1.101でリーグ1位に輝くと、そこから4年連続で“三冠王”。昨年は左足の故障で長期欠場したため記録は途切れたが、出塁率・長打率・OPSで4年連続トップは、王の11年連続に次ぐプロ野球歴代2位の快挙(3位は長嶋茂雄で3年連続)であり、改めて柳田という存在がいかに“化け物”であるかがよく分かるだろう。  今、柳田悠岐という野球選手の全盛期を見ることができるのは、ソフトバンクファンに限らず、全野球ファンにとって幸せなことなのかもしれない。20代後半に肉体のピークを迎えると言われる中で、今年10月に32歳となる柳田がさらに進化した姿を見せている裏には、相当な努力と研鑽があるはずだ。球史に残る怪物はどれだけ“神の領域”に近づけるか。故障なく過ごし、高みへの挑戦を続けてほしいと祈るばかりである。 構成●SLUGGER編集部  

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