今冬に感染拡大が懸念される感染症―新型コロナ5類移行後最初の冬に注意すべきこと
新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」)の感染症法上の位置付けが5類に移行して初めての冬が到来します。過去3年にわたり年末年始の食事会や旅行を自粛してきた方が多いと思いますが、今冬は久しぶりにそうした行事を楽しむことができそうです。その一方で、新型コロナの流行はまだ続いており、インフルエンザの流行も拡大しているなか、感染症全般への予防対策も忘れてはいけない状況にあります。今回はこれからの冬に注意すべき感染症と、その対策について解説します。【東京医科大学病院渡航者医療センター部長・濱田篤郎/メディカルノートNEWS & JOURNAL】
◇行動制限のない冬
日本で新型コロナの本格的流行が始まったのは2020年春からで、その年の冬以降、多くの方々が忘年会や新年会、正月休みの旅行などを自粛してきました。しかし、今年5月に新型コロナが感染症法の5類に移行されたことで、4シーズンぶりに行動制限のない冬を迎えることになります。 久しぶりに楽しい冬を満喫しようと準備している方も多いと思いますが、新型コロナが本格的に流行する前の冬から4年が経過しており、その間に体力が落ちてしまった方も少なくありません。その点も考えて、ご自身の体力に合った予定を組むようにしましょう。さらに、寒い冬は体調を崩すことが多い季節です。特にさまざまな感染症が流行しやすい時期であるため、予防対策が必要になります。
◇新型コロナの流行再燃
こうした冬に注意すべき感染症として、新型コロナが引き続き一番手に挙がってきます。10月以降、国内での新型コロナ患者数はかなり減少していますが、冬の季節になると流行の再燃は避けられないと思います。 流行再燃の原因としては、気温の低下で外界でのウイルスの生存期間が増すことがあります。また、人の側からすれば、寒い時期になると屋内で過ごす時間が長くなることや、寒さで換気の回数が減ることが挙げられます。さらに、寒いと手洗いが少なくなることも関係します。このようなさまざまな要因が重なり、冬には新型コロナだけでなく、呼吸器感染症全般が増えてくるのです。 今までの国内における新型コロナの流行を見ても、冬の時期には感染者数が大きく増加しました。国民の皆さんが行動を自粛していたにもかかわらずです。今冬はこうした行動自粛が減るため、冬の流行は今まで以上に拡大するとの予測もあります。新型コロナについては、今冬も一定の予防対策を続けていただきたいと思います。