えっ?貴景勝綱とり“0%”「初日から連敗」過去に昇進なし/初場所
大相撲初場所2日目(11日、両国国技館)自身初の綱とりに挑む大関貴景勝(24)は平幕大栄翔(27)にはたき込まれて痛恨の連敗を喫し、場所後の昇進は極めて厳しくなった。大栄翔は2日連続の大関撃破となった。ともに初のかど番となった2大関はそろって白星。朝乃山(26)は北勝富士(28)をすくい投げで下し、正代(29)は小結高安(30)を寄り倒した。 【写真】掲示板にズラリ…休場関取16人 ■はたき込みにバッタリ 開戦の号砲が鳴りやまないうちに、白旗に手をかけた。貴景勝が、初日から2連敗。自身初の綱とりに挑む場所で、極めて厳しい状況に追い込まれた。 「(2日目は)終わった。あと13日間あるから、集中してやっていきたい」。取組後の表情には、いらだちも落胆も感じさせなかった。立ち合いは右足から踏み込み、大栄翔を押し込んで先手を取った。だが、逆襲の突っ張りを胸で受けて、上体が起きたところをはたき込まれた。 ■レベル低いVでも駄目 昭和以降、綱とり場所で初日から2連敗を喫して昇進した例はない。土俵下で審判長を務めた錦戸審判部副部長(元関脇水戸泉)は、「(昇進は)かなり厳しいと思う。とりあえず立て直さないと…」。 横綱審議委員会の横綱昇進に関する内規は「大関で2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」とある。貴景勝が11月場所を13勝2敗で制した際、昇進を預かる審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)から「優勝しなきゃ駄目。レベルの低い優勝でも困る」と強い横綱像を求められた。 場所直前、日本相撲協会が協会員に実施した新型コロナウイルスの緊急PCR検査で、既に感染していた横綱白鵬ら15人、腰痛で休場した横綱鶴竜を加え戦後最多の関取16人が初日から休む異常事態。出場力士の番付最高位となる貴景勝には、昇進ばかりでなく責任も問われる。 ■「切り替え」前向きに しこ名にある「景勝」は、戦国武将の上杉景勝(かげかつ)にちなむ。景勝はある宴席で大大名の前田利家より席次が下だったことに苦情を申し出た。石高より位階。景勝は権威を大事にした。貴景勝は「切り替えはできている。負けたのには理由がある。(大事なのは)気持ちじゃないですか」。恥ずかしい相撲はみせられない。(奥村展也)