「まさか私の家の真上を通るとは」道路計画で自宅が立ち退き対象に!?怒る住民「将来の子どもに負の遺産を残すわけには...」なぜ住宅街を横断?市の事情を聞いた
高砂市が抱える事情とは…
市民生活への影響が避けられないのに、なぜ住宅街を通るルートが選ばれたのか。そこには、高砂市が抱える事情がありました。それはPCB埋設土問題です。 かつて「夢の化学物質」と呼ばれた『PCB』(ポリ塩化ビフェニル)。熱に強く、電気を通さないなどの特性から、さまざまな工業製品に使用されていましたが、1968年、食用油に混入し健康被害を引き起こしたことから有毒性が明らかになり、製造が禁止されました。 (百々雅夫さん)「PCBが埋まっているんです。盛り土。PCBが埋まっているから(道路を)通せないって言っている所」 当時、国内のPCBの9割以上を製造していた高砂市には、今も沿岸部にPCBに汚染された土が埋められているため、海沿いに道路をつくることができないのです。 市は、PCBの問題はあくまでルート選定の理由のひとつで、渋滞緩和効果や地域への影響も考慮してルートを決めたとしています。
高さ10m超の住宅はNGのエリアなのに「道路は建てていいと言われても…」
しかし、百々さんは納得がいきません。というのも、この地域は住環境を守るため高さ10m以上の住宅は建てられないのです。百々さんらの指摘に対し市は「高架道路は住宅ではないため建設は可能」と説明したといいます。 (百々雅夫さん)「家を買うときにも当然、3階建てとか10m以上のものは建てないでくださいと。住環境は担保されますということで、みんな、なけなしの金をはたいて、終の住みかだと住んでいる人がほとんどなんです。それをね、『いや道路は建ててもいいんです』と言われても納得できます?」 さらに、百々さんが暮らす町は海岸を埋め立てた造成地で、防災ハザードマップでは、液状化リスクが「極めて高い」エリアに分類されています。 (百々雅夫さん)「20年ほど前に家を建て替えたときに、基礎このままでは無理ですよと。当然、基礎の強化をしなければ、かなり下まで掘って強化しなければというほど軟弱」
ルートの選定は適切だったのか?「市としてはやむを得ないと考えて判断」
市は詳細な地質調査はしていないとしながらも、最新の工法で液状化に対応できるとしています。果たしてルートの選定は適切だったのか、市の担当者に話を聞きました。 (高砂市都市創造部 井上陽介部長)「高砂町付近は住民や企業地域が密集しており、PCB盛り立て地を回避し、住宅地を選ぶルートを設定することについては、市としてはやむを得ないと考えて判断したところでございます」 今後の事業計画の進め方については…
(高砂市都市創造部 井上陽介部長)「自治会の説明会を要望されている所もございますので、そこで膝を付き合わせて顔を見て、丁寧な説明でどういったことができるか、そういう意見を聞いて進めていきたいと考えています」 慢性的な混雑緩和の切り札として期待も大きい播磨臨海地域道路。周辺住民に対して、引き続き丁寧な説明が求められます。 (百々雅夫さん)「我々には関係ないんやと。我々が生きている間はまず大丈夫やろうと。環境が変わらへんのはようわかっていると。だけども我々の世代で孫や将来の子どもたちの未来に負の遺産を残してどないするんやと。そういうわけにはいかへんから俺らは頑張るんや」