白井元調教師と学ぶ血統学【38】「そこに気が付くのが社台は早かった」欧米におけるスピードの〝相違〟とは? 注目の新種牡馬も紹介
元JRA調教師の白井寿昭氏を指南役に迎え、さまざまな角度から血統を考える好評連載の38回。2歳世代が初年度産駒になる種牡馬が現在のターゲットで、血統だけでなく、馬体なども含めた総合的判断の結果、最も注目すべき新種牡馬をあぶり出していく。 進行は東スポ競馬・関西地区本紙担当であり、白井氏との親交も深い松浪大樹記者。これまで以上に興味深い話の数々を堪能していただきたい。 松浪大樹(東京スポーツ記者=以下、松浪)先週に続き、ドバイゴールデンシャヒーンを連覇した名スプリンター・マインドユアビスケッツの話から進めていきたいと思います。 白井寿昭氏(元JRA調教師=以下、白井)馬の写真の写り方という、ちょっとレアな話をしたんやったね(笑)。 松浪 しかも、そこで話が終わるという…。この馬の可能性について、まるで触れずに終わりましたので、それ以降の話もしなければなりません(苦笑)。 白井 そうやね。でも、社台スタリオンのけい養で、スピードもありそうな馬で、母系は距離も持ちそうやから、それなりの活躍はするんとちゃうかな。 松浪 実にあっさりとした結論です(苦笑)。もう少しだけ踏み込んでもよろしいですか? 白井 そうやね。これでは読者があきれそうやし、もう少しだけ話そうか(苦笑)。 松浪 以前、同じ短距離馬でも欧州のそれと米国のそれでは、後者のほうが日本に合うような話もされていました。これについては? 白井 日本に合うかどうかというよりも、米国のほうが欧州よりもレベルがはるかに高いと思っとるからね。そういう意味でマインドユアビスケッツは合格点。 松浪 それは競走馬としてのレベルですか? 白井 いや、スピードの質という意味になる。欧州にもええ馬はおるし、速いとされる馬もおるよ。でも、洋芝の時計の出ないところでいくら速く走れても、それには意味がないわけ。日高と社台の違いもそれで、そこに気が付くのが社台は早かった。で、現在の隆盛がある。 松浪 欧州のスピード馬でダメな理由はわかりましたが、米国の芝を走る馬ではダメなのですか?