【Q&A】「世論調査」って何?
内閣支持率や選挙報道でメディア各社が実施する世論調査。この数字をもとにそれぞれの社が政治情勢の記事などを書きますが、もととなる調査がどのように実施されているのか、気になる人もいるかも知れません。会社によって調査方法に違いはあるのでしょうか? また世論調査の結果が社によって異なるのはなぜなのでしょうか? 自身の会社でも世論調査を多く請け負っている、公益財団法人日本世論調査協会の会員で選挙コンサルタントの野澤高一氏に話を聞きました。
Q:調査はどう行われているの?
報道機関によって異なる点もありますが、設計から集計までの期間が短くて済む、無作為(ランダム)で選ばれた固定電話番号にかける電話調査法が、コスト面からも主流です。 最近は若年層が固定電話を持っていないこともあり、携帯電話にも調査対象を広げることもあります。しかし、携帯だと仕事用電話を持っている男性につながるケースが多く、回答者の属性が偏ってしまう恐れがあります。そのため、サイトに誘導するショートメールと組み合わせるなど工夫がなされています。
Q:調査結果はどのくらい正確なの?
調査対象者が多いほど調査の精度が上がります。ただ、それでも実態と差が生じる恐れがあります。その差を「サンプリング誤差」と呼びます。 このサンプリング誤差は、 (1)サンプル数100人=プラスマイナス約10% (2)サンプル数500人=プラスマイナス約4.5% (3)サンプル数1000人=プラスマイナス約3.2% (4)サンプル数5000人=プラスマイナス約1.4% と言った具合で起こり得るとされています。 例えば、1000人を対象とした調査で内閣支持率が50%となった場合、本当の支持率は46.8%~53.2%である、ということです。
Q:調査結果の数字はいじられることはあるの?
調査で得られた生のデータを報道機関がそのまま公表することはありません。統計手法を使って回答者の年齢構成を実態に近いようにウエイト付けをしたり、記者の取材活動に基づく考えも反映されたりするため、「修正して当たり前」と言っても良いかも知れません。 しかし、ウエイト値にこそ各社のノウハウ・実績が詰まっているとも言え、修正が施されたからといって「誘導的」「不正確」という訳ではありません。