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世界の若者の4割、将来のキャリアに「不安」 コロナ禍で資格試験の中止・延期相次ぐ

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NIKKEI STYLE

《連載》デンシバ Spotlight

新型コロナウイルスの感染拡大で、今年予定されていた資格試験の多くが延期や中止となっています。就職やキャリアアップの障害になるため、学校現場などには不安も広がっています。影響を最小限にとどめるには何が必要でしょうか。現場や専門家の声を聞いてみました。 8月中旬、東京都立墨田工業高校(東京・江東)には約10人の生徒が試験対策のために集まっていました。例年は5月に開かれる第2種電気工事士の上期試験は、新型コロナの影響で中止になりました。10~12月に下期の試験は開かれる予定ですが、杉浦文俊校長は「一発勝負となる3年生には厳しいスケジュールになる」と話しています。 来春卒業の高校生の就職採用試験は、例年より1カ月遅れの10月16日が解禁です。資格を手に満を持して就職試験に臨むことがかなわない生徒も出てきそうです。杉浦校長は「就職は資格だけでは決まらないので、生徒を動揺させない心のケアに力を入れている」といいます。

■世界の若者の38%が将来のキャリアに「不安」

政府も頭を悩ませています。国家検定制度に基づく技能検定は、今年度前期分が中止となりました。対象は「造園」「機械加工」など57職種です。年度内の実施を模索している職種もありますが、会場確保の問題などで難しいケースも出そうです。このため厚生労働省は「技能検定に合格していない生徒が採用選考で不利にならないように」と、経団連などを通じ企業に要請しました。 キャリアアップへの影響は世界中に広がっています。112カ国を対象にした国際労働機関(ILO)の調査では、18~29歳の若者の38%が将来のキャリア形成に不安を感じていました。雇用や教育機会の減少は、オンライン環境の乏しい低所得者ほど顕著にみられたようです。ILOは8月にまとめた報告書で、「若者への集中的な支援が必要だ」と訴えました。 日本ではバブル崩壊後に就職率が低迷。「就職氷河期世代」という言葉も生まれ、その影響は現在まで続いています。日本経済の生産性を研究する学習院大の滝澤美帆教授は「特定の世代がキャリア形成を閉ざされれば、新たな氷河期世代が生まれかねない。企業や大学は採用・入学試験の受験資格を柔軟に改めるなどの対応をとるべきだ」と話しています。 当事者はどんな心構えを持てばいいでしょうか。メンタルヘルスに詳しいランスタッドEAP総研の川西由美子所長は「何のために資格をとるかをもう一度考え直してみては」とアドバイスしています。資格をとる“目的”に思いを巡らすことは、勉強のやる気を維持し、新たな道を探るきっかけにもなるそうです。

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