阪神大谷攻略の裏に3m前打撃練習
試合前練習で「2番・センター」を告げられたという柴田は「緊張したが、1打席目も2打席目も真っすぐをしっかりと打てたのが良かった。試合前練習では、打撃投手を前に速いボールを打っていたので、そこでタイミングや始動を早くするなどの工夫ができたのが大きかった。相手が大谷だということは試合中はあまり考えなかったが、終わってみて、今、勝てたので凄く良かったと思うし気分がいいです」と、対大谷攻略の刺客としての役割を果たして最高の笑顔。29歳の柴田は、もう若手とは言えないが、4日のロッテ戦で、決勝打を放った江越といい、2軍からの抜擢組が、日替わりヒーローとなって、マートンの不振などで、停滞気味だったチームを活性化させている。 また「投手・大谷」だけでなく、「打者・大谷」に対してもメッセンジャーは、3打数3三振。これもスコアラーのデータを元にバッテリーが大谷対策の配球を徹底したものだ。インサイドのストレートを軸にストライクを先行させて、バッティングカウントを作らない。最後の打席だけは、勝負球にストレートを使ったが、基本的には、勝負球は変化球で、第一打席はフォーク、5回無死一、二塁のピンチで迎えた第二打席には、スライダーと幻惑させ、すべてスイングアウトに斬った。 栗山監督は、「打てないだろうが、相手は嫌だろう」と7番に入れていたが、緊迫するゲーム展開で、ピッチャー業に集中していた大谷に、バッティングで、真っ向勝負をしてこないセ・リーグ風の配球に対応せよというほうが難しかったのかもしれない。 わずか4安打1失点11奪三振で、昨年9月3日の楽天戦以来の負け投手となった大谷は、123球を投げて7回でマウンドを降り、「自分のピッチングはできたし、その中で負けただけ」と、コメントを残した。まさに負けた相手が納得するというプロフェッショナルな勝負をものにして、阪神は、勝率を5割に戻した。 和田監督は「(勝率5割という)過剰な意識はしないでおこうと思っている。大谷といういいピッチャーに勝てたことで打線が一層奮起してくれるでしょう」と控えめだったが、お立ち台に呼ばれたメッセンジャーは、「今度こそチーム野球で、借金ではなく、貯金生活に進めるように頑張りたいと」と連勝宣言をしていた。