美男美女が「妖精事件」を解決?男女バディの“唯一無二の関係性”を描いた漫画に反響続出
北欧、妖精の国を舞台に、最強男女バディが“妖精絡み”の事件に挑む。ファンタジックな設定ながら、どこか謎めいた雰囲気を漂わせる漫画『FOGGY FOOT』が、今漫画ファンを中心に注目を集めている。 【漫画】本編を読む 本作の主人公は、クールな美少女・ワコと、ミステリアスな色男・アダム。人間と妖精との「縁」を繋ぐ「ボーダーメーカー」として活躍する2人が、妖精たちがもたらす(珍?)事件を次々と解決していく。 SNSユーザーからは、「ワコとアダムの絶妙な関係性がたまらない…」「登場する妖精の癖が強い!」といった風に、個性あふれる登場人物に関する反響が相次いでいる。そこで今回、イラストレーターとしても活躍中の漫画家・紗与イチさんにインタビューを行い、不思議な魅力を放つ『FOGGY FOOT』制作の舞台裏について話を聞いた。 ■男女バディ誕生の裏にはあの名作の影響が…? ――本作『FOGGY FOOT』を描き始めたきっかけについて教えてください。 「前作で女性主人公に複数の男性キャラという形の漫画を描いていたせいか、唯一無二の関係性が描けるような男女バディものを作ってみたいなと思ったのがきっかけです」 ――まさにワコとアダムの「唯一無二の関係性」が人気を集めています。2人が誕生したきっかけは? 「多分その時『シティーハンター』を読んでいて(笑)、確かそこから想起したように思います。恋愛だけの関係じゃなくて、一対一の中にお互いにしかわからない空気感が流れるものが理想でした」 ――『シティーハンター』の影響があったんですね!では、舞台を北欧の「妖精の国」にした経緯は? 「担当さんと内容を詰めていくなかで、海外風のロケーションがいいんじゃないかという流れになったと記憶しています。オカルト要素のある話にしたいと思っていたので、舞台は北欧にしたい、お化けとかではなく北欧ならではの妖精を使ってみようという順番で決まっていったと思います」 ■癖の強いキャラクターが続々登場。なかでも作者イチオシの「妖精」は? ――本作には、個性豊かな妖精たちが登場します。キャラクター設定をするなかで、どのような取材活動をされたのでしょうか? 「主にスウェーデンの方に聞いた話や、現地で買った妖精図鑑などを元に考えていきました。エルフやダークエルフは映画等でも聞き馴染みのある妖精ですが、そのイメージも含めて自分なりに色をつけて話を作っていきました」 ――なかでも紗与さんお気に入りのキャラクターを教えてください。 「一番身近な妖精のトムテやダークエルフのイデオンが気に入っています。ダークエルフとドワーフが同一視されている説を聞いたところから、“エルフ”と名前についていても美しい姿ばかりではないというギャップが妙に好きでした」 「トムテはその存在を大事にしていれば恩恵に預かれるけど、邪険にすると怒って仕返しされるというのが、日本で言うところの座敷童のようで親しみ深いなと思っています。あとやっぱり小さいのがちょこちょこ動いている様子って想像するだけで可愛いですよね(笑)」 ■作品の空気感を支える圧倒的な「画力」。しかし作者本人の評価は… ――「絵が美しい!」というレビューが非常に多いです。紗与さんはイラストレーターとしても活躍されていますが、イラストを描くうえで、特に気をつけているポイントを教えてください。 「レビュー嬉しいです、ありがとうございます!ただとても情けない話なのですが、今まで一度もイラストが得意だと思って描いたことがないので、あまり立派なことが言えないというか…。身内がイラストレーターをやっているので『自分はまだまだだなぁ』と感じるばかりです」 「気をつけているポイントという表現に合っているかはわからないのですが、とにかく『イラスト』という形になるように必死に描いている…という感じです(笑)。塗り方なども流行りがあるので、そういうものは都度調べて、自分に合うものを取り入れるようにはしています」 ――「得意だと思って描いたことはない」というのは意外でした。本作のキャラクターデザインに関しては、どのような意識で描かれていますか? 「描きやすいけど、画面が派手になりそうなもの。です!」 ――本作を描かれる上で、どのような「苦労」「問題」がありましたか? 「オムニバスに近い形での連載は初めてだったので、1話完結のシナリオを考えるのに骨が折れました。そうじゃない形の連載ももちろん大変ですが、オムニバスもなかなか大変だな、と。とても良い学びでした」 ――そんな紗与さんがもっとも影響を受けた漫画作品と、その理由を教えてください。 「3つあげるとしたら、内藤泰弘先生の『トライガン』・今市子先生の『百鬼夜行抄』・夢来鳥ねむ先生の『HAUNTEDじゃんくしょん』です。2作品はオカルト系でしたね。がっつりホラーというよりは、程よくお化けが人間に寄り添っているオカルトものを学生時代は好んで読んでいました」 「『トライガン』はもう、本当に大好きで!キャラクターも台詞も間も悪者の在り方も全部好きです。かっこいいですよね。相容れない存在同士の心の繋がり、みたいなテーマが永遠に好きなのでこの3作品を挙げました」 ――最後に、気になる今後の展開について、言える範囲で教えてください! 「どんどんワコ中心の話になっていくと思います。最後までお付き合い頂ければ幸いです。これからもよろしくお願いします!」 取材協力:紗与イチ