ポルシェ911 詳細データテスト MT+NAの快感 公道志向の足回り 遮音性はやや改善の余地あり
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
乗り心地は快適でしなやかだが、遮音性は不十分だ。走行中はGT3やGT3RSと同じくらいうるさい。巨大な後輪は反響音を生み、サスペンションのロッドエンドベアリングや、遮音に効くはずの後席の不在は、相乗効果でマイナスにはたらく。今回走らせた限りでは大きな問題とは思えなかったが、長く付き合うなら、フェラーリ812スーパーファストや911GTSのほうが快適な長距離ドライブの相棒になってくれるだろう。 とはいえ、必要になりそうな装備は軒並みついていて、ミドエンジンのスーパーカーに比べれば視認性は高い。また、特別な一台でありながら、クルマに詳しくなければ普通の911に見える控えめなところも、目立ちたくないユーザーにはもってこいだ。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
S/Tの生産は、911の登場年にちなんで1963台限定。GT部門の例に漏れず、23万1600ポンド(約4771万円)の本体価格を用意できても必ず手に入るわけではない。英国市場には総数の1/10が上陸する予定だが、すでに未登録車が45万ポンド(約9270万円)近い価格で販売されている。 幸運にも購入のチャンスを得て、このクルマのロードノイズに耐えられるのであれば、良好なツーリング燃費を享受できる。テストで計測した数字は10.9km/Lで、航続距離は700kmとなる計算だ。全高は通常の911より20mm低いが、2546ポンド(約52万円)でノーズリフターが追加できる。安心感を買うと思って、装着しておきたいところだ。
レイアウト
GT3RSと共通のボディパネルも用いるが、車体は後輪駆動の911やGT3と同様に、GT3RSやターボ、4WD系よりナローだ。 S/Tはフロントにダブルウィッシュボーンサスペンションを用いる911で唯一、後輪操舵を搭載しないモデル。39:61という前後重量配分は、DCTを積むGT3よりリア荷重が少ない。
エンジン
駆動方式:リア縦置き後輪駆動 形式:水平対向6気筒3996cc、ガソリン ブロック・ヘッド:アルミニウム ボア×ストローク:φ102.0×81.5mm 圧縮比:13.3:1 バルブ配置:4バルブDOHC 最高出力:525ps/8500rpm 最大トルク:47.4kg-m/6300rpm エンジン許容回転数:9000rpm 馬力荷重比:380ps/t トルク荷重比:34.4kg-m/t エンジン比出力:132ps/L