運転手不足解消する?12日に道交法改正18歳から取得可能「準中型免許」とは
再配達の増加、マンションのセキュリティー強化 社会構造の変化で大幅に労力増
長時間労働と低賃金という2つの理由から、トラックドライバーを志望する若者は急激に減りました。トラックドライバーが慢性的な長時間労働に陥っている原因は、ネット通販の取扱量が増加したこと以外にもあります。 巷間、よく言われる原因は、男女共働き世帯や一人暮らしのアパートによる再配達が増えたことや、マンションのセキュリティーが厳しくなって、呼び出したフロアにしかエレベータ―が停止しなくなったことが挙げられます。例えば3階と5階に荷物を届ける際に、いったんエントランスまで戻らなければいけなくなったので、その分、ドライバーの手間が増えました。社会構造の変化で、荷物ひとつを届ける労力が大幅に増えたのです。 トラックドライバーの労力が増えたのであれば、物流事業者は社員を増やして問題解決を図ろうと考えます。しかし、少子化という要因に加えて、近年では若者の運転免許離れも顕著になっています。自動車免許がなければ、当然ながらトラックドライバーになることはできません。トラックドライバーの人材確保は、以前よりも格段に困難になっているのです。
高卒時は取得がムリ 2007年道交法改正でできた“中型免許の壁”
特に鉄道網が充実している東京や大阪では、自動車がなくても生活に不便を感じません。そうしたことから自動車免許を取得しない若者も増えており、東京や大阪でドライバー不足が顕著になっているともいわれます。 さらに、2007(平成19)年に道交法改正で、中型免許が創設されたことも若者のトラックドライバー不足に拍車をかけました。中型免許が創設されたことにより、普通免許だけでは車両総重量11トン未満で最大積載量6.5トン未満の、いわゆる「4トントラック」を運転できなくなったのです。 「中型免許が創設された背景には、トラックの事故防止という意味合いが強くあります。それまでは、普通免許でも4トントラックを運転できました。しかし、自動車学校で普通免許を取得する場合、教習車の大半はセダンタイプです。4トントラックを運転することはありません。セダンタイプの乗用車と4トントラックでは、運転感覚が大きく異なります。トラックの運転経験がなくても、普通自動車免許を取得すれば4トントラックを運転できてしまうのです。これは、かなり危険です。交通事故を未然に防ぐという目的から、中型免許が創設されることになったのです」(有賀さん)。 中型免許を取得するには、20歳以上で普通自動車免許を取得してから2年以上が経過していることが条件です。つまり、高校卒業と同時にトラックドライバーとして働くことは難しくなったのです。そうした中型免許の壁が、物流業界で働く若者を遠ざける一因にもなりました。