「毎日ゲームで遊んでいる子どもを放置すれば依存症になりますか?」への誠実な回答
「テレビやゲーム、スマートフォンは、子どもたちの成長に悪影響を与える」と主張する声を多く聞きます。しかし最近では、宿題や授業にも、学校から支給されたタブレットを用いるようになりました。親は何を信じて、どうすればいいのでしょうか。本稿は、ブラウン大学経済学者で2児の母であるエミリー・オスター氏の著書『ブラウン大学経済学者で二児の母が実証した 世界標準の子育て大全』より一部抜粋・再構成のうえ、テレビやゲームとの上手な付き合い方をご紹介します。
■毎日遊んでいる子をほうっておいたら、依存症になるか メディアではしばしば、「ビデオゲーム依存症」が話題となる。 私たちが思い浮かべるイメージは、子どもが何時間も画面を見つめたり、ベッドにゲーム機を忍ばせたり、部屋にこもってトイレにさえ行かない様子だろう。 テレビやビデオゲームを少しでも許可すると、わが子がそうなってしまう可能性があるとしたら、考慮が必要だ。 確かに、実際にビデオゲームに夢中になり、他のすべてを犠牲にしてゲームをする人もいる。さまざまなかたちで画面に夢中になって、学校も友人関係も家族も無視する子どももそうだ。これは間違いなく不健全であり、そうなれば、外部からの介入が必要になるだろう。
一方で、このタイプの依存症はかなりまれなケースであるともいえる。 大規模な調査結果を集計したある総説論文によると、「問題のある」ゲーマーの平均割合は2~10%程度だという。 研究対象は、定期的にビデオゲームで遊ぶ子どもであることが一般的なので、ときどきしか遊ばない子どもを含めると、割合はさらに小さくなるだろう。 ビデオゲームをする子どもの大多数は、問題のある遊び方やビデオゲーム依存症の兆候を示しておらず、一般にこういった問題を発症する可能性は低いのだ。
■ビデオゲーム依存症になりやすい人の特徴 前述した論文の著者たちが、依存症を発症したり、遊び方に問題が生じたりするプレイヤーの特徴を掘り下げたところ、男の子である可能性が高いことが判明した。 また、何らかの不利な家庭環境にある可能性も高く、例えば貧困家庭や1人親世帯の場合が多い。 最も注目に値するのは、他の形態の依存症を特徴づけるのと同じ心理的特徴を示すエビデンスが見られたことだ。 このことは、ビデオゲームが「原因」ではなく、単に「触媒」である可能性が、少なくとも部分的に考えられることを示唆している。