ISSへの新型補給機「HTV-X」が初公開 実験も担う「二刀流」
三菱電機は10日、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ新型の補給機「HTV-X」を、人工衛星を製造する神奈川県鎌倉市の工場で初公開した。15年にわたり役割を担ってきた「こうのとり」の後継で、2025年度にH3ロケットでの打ち上げをめざす。 同社が手がけたのは、HTV-Xの「頭脳」と呼ばれる機体の根幹部分。電力や制御、通信など飛行に必要なすべての機能が集約されている。同社が公開した部分とは別に、ISSの宇宙飛行士に届ける食料や生活物資、実験機材を載せる部分は三菱重工業が造っている。 HTV-Xは全長約8メートル、重さは約16トン。「こうのとり」の約1.5倍の物資を搭載でき、通信能力も強化される。将来的には、月面を有人探査する「アルテミス計画」で米国が建造中の月周回拠点への補給もできるよう改良が検討されている。 運用期間は「こうのとり」の2、3カ月から2年間に延びる。補給を終えてISSを離脱した後も、小型衛星を放出するなどの実験ができる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)でプロジェクトマネジャーを務める伊藤徳政氏は「諸外国の補給機にはない特徴で、単に輸送するだけではなく技術実証ができるので『二刀流』と呼べる」と話した。(高橋豪)
朝日新聞社