『銀魂』万事屋銀ちゃんの経営内容を弁護士が解説「どんなケースでも給与を酢昆布で支払ってはならない」
映画「銀魂 THE FINAL」が話題だ。 週刊少年ジャンプ(集英社刊)で連載された人気シリーズ「銀魂」のアニメ最新作として公開されている本作だが、内容に加えて「映画を観に行くとなぜか『鬼滅の刃』に関連した特典がもらえる」「原作者の空知英秋先生からなぜか劇場版『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』についてのコメントが届く」などなど、一風変わったプロモーションも話題を呼んでいる理由だろう。
そんな人気作の「銀魂」だが、原作となる漫画の中では現代人の感覚では「おや?」「これは……!?」と気になるシーンも多い。例えば、神楽や新八への給与の未払いや給与の天引きなど、主人公である坂田銀時(以下銀さん)のモラルが疑われる!? シーンも(かなり)多い。 というわけで今回は、そんなモラルが崩壊気味の“掟破り”な「銀魂」の世界を、現代の法律観点で見ると果たしてどうなるのか、自身もマンガ好きという村田浩一弁護士に前編・後編にわたってバッサリ斬ってもらうことにした(以下、一部ネタバレを含む)。
万事屋の仕事が法的に何にあたるのかは弁護士でもわからない ――今回は、取材にあわせて映画「銀魂 THE FINAL」も観ていただいたとのことで、ありがとうございます! 映画のオープニングがすごく良かったですね! 特に某作品のオマージュは本当に「よくやってくれた!」という感じでした。 ただ、オマージュが気になりすぎて冒頭の内容がまったく頭に入ってこなかったです。 ――全面的に同意します(笑)。 では早速、本題に入っていきたいんですけど、銀魂では主人公の銀さんが「万事屋銀ちゃん」という店を営んでいるんですが、この「万事屋」とは法的にはどういう店なのでしょうか? ものすごく率直なことを言うと、結局銀さんが何の仕事をやっているのか僕にはいまだにわからないんですね。
――そうですよね。同じ気持ちのファンも少なくないと思います。 わかりやすいところでいくと、銀さんは「人助け」や「人探し」をしていることが多いと思うのですが、これはいまの日本の法律では特に規制されてはいません。聞き込みや尾行といった探偵業務をする場合は「探偵業の業務の適正化に関する法律」(探偵業法)により役所へ届出が必要ですが、そういった法律で規制されている業務がなければ自由に行うことができます。 「なんでも屋」という仕事自体は現代でも存在するので、そこに分類されるのかなと思っています。 ――なるほど! では次に万事屋で働いている新八というキャラクターについて、たびたび銀さんから給与がもらえていないようなのですが、ここについてはいかがでしょうか。