夏の甲子園地方大会ならではの名勝負!胸を熱くしたドラフト候補同士の対決4選!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.29』】
昨年のインパクトある投手戦が2試合!
Case3:2023年千葉大会5回戦 早坂 響投手(幕張総合)vs平野 大地投手(専大松戸) 2023年の千葉県を代表する本格派右腕同士の対決が5回戦で激突しました。高校2年秋から投手を始め、最速150キロを投げるまでになった早坂投手、2年秋に最速151キロを計測し、センバツベスト8、高校日本代表候補にも選出された平野投手というマッチアップ。 組み合わせが決まった時から「5回戦でこの対決が見られるかもしれない!」とワクワクしていました。実際にZOZOマリンスタジアムでの2人の対決が実現したのです。 早坂投手はスリークォーター気味から150キロ近い速球と130キロ近い高速スライダーで専大松戸打線に立ち向かい、平野投手は最速150キロをマークし、5安打されながらも2失点完投勝利でした。2人とも「投げ合いは楽しかった」と笑顔で試合を振り返り、報道陣のリクエストでお互いで握手する風景もありました。 平野投手はこのときからヒジの違和感があったそうで、その後は思うような投球ができませんでした。今、思えばこの試合は早坂投手がいたからこそ痛みを忘れて投げられたかもしれません。卒業後、早坂投手はロッテへ、平野投手は専修大へ。いつかプロの舞台で投げ合いが実現することを期待しています。
Case4:2023年大阪大会決勝戦 前田 悠伍投手(大阪桐蔭)vs福田 幸之介投手(履正社) 昨年の大阪大会決勝戦も盛り上がりを見せました。履正社の福田投手はセンバツからぐんぐん調子を上げていて、150キロ級の速球を投げ込んでいました。大阪桐蔭をセンバツベスト4に導いた前田投手ですが、ヒジの不調があり、春季大会はベンチ外で、夏に間に合わせてきました。 勢いがあったのは福田投手でした。立ち上がりから最速150キロをマークし、その後も140キロ中盤の速とフォークを投げ込み、大阪桐蔭打線を翻弄します。一方、前田投手は最速145キロはマークするも、まだ調子は良くないように感じました。勢いのあった履正社打線が前田投手から3点を奪い、福田投手は完封勝利を挙げました。 試合後、「最も調子が良かった試合。ベストピッチング」と語った福田投手。甲子園でもこの試合ほどの投球は出来ませんでしたが、一世一代の投球をして、スカウトの評価を上げたことは間違いありません。前田投手はソフトバンクから1位指名、福田投手は中日から4位指名を受けました。本指名につながったのは決勝戦の完封劇が大きかったといえます。
上記の4試合は今でもすぐ思い浮かぶほど強烈な印象に残っている試合です。またこうした試合に巡り合えればと思っています。 高校野球ドットコムではこの夏、49地区から「トッププロスペクト123人」を選定し、各日の逸材の登場予定記事を配信しております。ほとんどが終盤戦を迎えており、ドラフト候補同士の対決も増えてきました。その紹介もしておりますので、近くの球場でその対決があれば、球場に足を運んでもらえばと思います。 *『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。