イランがイスラエルに報復攻撃:報復の応酬にエスカレートするか
米大統領選挙の、「オクトーバー・サプライズ」となるか
しかし、米ニュースサイトのアクシオスは2日に、イスラエル当局者の話として、同国がイランによるミサイル攻撃に対する「大規模な報復」を数日中に開始すると伝えている。イラン国内の石油生産施設やその他の戦略的拠点を標的にする可能性があるという。これがどの程度の規模で行われるか、それが報復の応酬に発展するかが、次の大きな注目点だ。 トランプ前大統領は1日に、今回のイランの報復攻撃について、「制御不能の悪循環に陥っている」、「中東地域の安定を維持できていない」と、バイデン大統領やハリス大統領候補の対応を激しく批判した。 カービー大統領補佐官は「全面戦争に発展するのを防ぐために、緊張を緩和する方法を見つける必要がある」と語るなど、米国政府は停戦協議を働きかけて事態の鎮静化を図る考えだ。しかし、イスラエルが制御不能となり、中東情勢の緊迫化が大きく高まる場合には、それは、「オクトーバー・サプライズ」となり、米国大統領選に向けてハリス氏の思わぬ逆風となる可能性もあるだろう(コラム「米大統領選前にオクトーバー・サプライズはあるか?:イスラエルのレバノン地上作戦など地政学リスクにも注意」、2024年10月2日)。 (参考資料) "Iran Attacks Israel With Missiles, Drawing Vows of Retaliation(イラン、イスラエルにミサイル発射 イスラエルは報復示唆)", Wall Street Journal, October 2, 2024 「イランがイスラエルに報復攻撃、基地標的に弾道ミサイル…ネタニヤフ首相「代償払うことになる」」、2024年10月2日、読売新聞速報ニュース 「イスラエルへのミサイル「90%が標的に着弾」 イラン革命防衛隊」、2024年10月2日、朝日新聞速報ニュース 「トランプ氏、イランのイスラエル攻撃でハリス氏の責任追及 政権交代の必要性強調」、2024年10月2日、産経新聞速報ニュース 「イランの弾道ミサイル攻撃「4月の2倍」 米国に通告なし」、2024年10月2日、日本経済新聞電子版 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英