コロナ感染者、病院で不在者投票 病室で記入も可、岐阜県知事選
新型コロナウイルスの感染が広がる中、今月7日告示、同24日投開票の日程で岐阜県知事選が行われる。国民の権利である選挙権を保障しようと、県、各市町村の選挙管理委員会は、外出が制限される新型コロナ感染者らも投票できる手段や環境を整えている。 県によると、2日現在、県内のコロナ感染者は指定病院、軽症の患者は2カ所の宿泊療養施設に収容されており、自宅療養する感染者はいない。病院、療養施設の感染者はいずれも基本的に外出が禁止されている。 県選管によると、感染者が入院する病院は全て、入院などで投票所に行くことが困難な患者らが院内で投票することができる不在者投票施設に指定されており希望者は投票日前に病院内で投票することが可能だ。 指定施設である県内のある病院の幹部は「他の病気の患者とは別の部屋で投票してもらう。病状によっては病室で投票用紙に書いてもらうことも考えている。臨機応援に対応したい」と話す。 県によると、療養施設にいる感染者で投票を希望する人は、不在者投票施設に指定されている病院で投票が可能。その際は県関係者が車で送迎するという。 記載された投票用紙は感染者の住所地の各市町村の選管に集められる。療養施設がある羽島市の市選挙管理委員会は、用紙を金庫で保管し、投票日の投票時間終了前に投票箱に入れる。 一方、感染者の家族ら感染の疑いのある濃厚接触者の場合は、通常の投票所で投票することができる。ただ接触者が投票に行く際は、あらかじめ地域の保健所に日時を連絡する。その情報を保健所から受け取った市町村の選管は一般の投票者と接触を避けるよう対応する。 同市選管は「対象者が訪れたら、一般の投票者に投票所の部屋の外で待ってもらうなどの措置を取る。対象者には使い捨てのビニール手袋をして用紙に書いてもらう」と万全を期す。 さらに各務原市選管は「一般の投票者でも、体調が優れない人は市に相談してほしい」と呼び掛ける。「相談を受けたら比較的人が少なそうな時間を伝え、接触の機会を極力減らす方法を考えたい」と話す。 県の担当者は「選挙権は国民の権利。感染された方も投票ができるよう配慮したい」と語った。 【不在者投票制度】 仕事や旅行で選挙期間中、選挙人名簿登録地以外の市町村に滞在する場合は、滞在先の市町村の選挙管理委員会で不在者投票ができる。不在者投票施設に指定されている病院や高齢者施設などに入院、入所している人は施設内で投票が可能。希望者は登録地の選管に投票用紙など必要書類を請求する。県内の不在者投票施設は346カ所ある。
岐阜新聞社