移転オープンのヨドバシカメラにPOP制作歴20年のベテラン 店舗力アップのノウハウ光る
さまざまな商品を取り扱う家電量販店にとって、来店客の目を引く売り場づくりは販売につなげる重要な要素だ。 マルチメディア千葉でも、テレビの側面にPOPを設置して空間を有効活用している 11月15日に移転オープンしたヨドバシカメラマルチメディア千葉(千葉市中央区)も、独自のPOPを取り入れた店舗づくりに注力している。全商品カテゴリーのPOP制作を担当するのが、制作歴20年の企画担当・濱田淳さんで、デザインから販促物への加工まで手掛けている。
「オープンまで一週間を切っていて、急ピッチで作業に取り掛かりました」。マルチメディア千葉の移転オープンに向けて、関東全域の店舗からPOP担当者が集結。濱田さんも、マルチメディア横浜(横浜市西区)から駆け付けた。 無事にオープンし、濱田さんはマルチメディア千葉にそのまま異動。クリスマス商戦に向けて早くも手腕を発揮している。 建物を支える柱1本1本をクリスマス仕様に装飾し、ドアの縁まで彩った。「全部、貼りました。少しでも買い物をしやすい雰囲気にしたくて」とはにかむ濱田さん。 店内は、天吊りPOPの数を抑え、エスカレーター周辺には加湿器などの背が低い商品を展示し、店内奥まで見渡せるように工夫されている。 全国の店舗に先駆けて、新たな展示方法も導入。掃除機コーナーでは什器の高さを低くし、商品を見渡せるようにした。スチームオーブンレンジやポータブルゲーミングPC、ヘアドライヤーなどの展示にドーナツ型のブースを取り入れ、実演時に販売員が中央に立って商品説明をする。 「マルチメディア千葉を発信地として、新たな取り組みをしていきたいです。これから積み上げていける場所です」(濱田さん)と、売り場づくりは今も進行中だ。 濱田さんは、POPを「物言わぬ販売員」と表現。商品の機能面の違いを伝え、来店客にとっての一番の商品を見つけられるPOPづくりを意識している。 マルチメディア横浜時代には、規格外の大型POP制作にも取り組んだ。 8台のロボット掃除機を並べ、ボーリング場のレーンさながらの実演コーナーを作った。 濱田さんは「動きがあるほうが提案しやすいです。各商品を横並びにし、比較しやすい売り場づくりにしました」と話す。サイズ感や動作音が伝わるように設計し、メーカーや売り場スタッフからは販売につながっていると好評だった。 家電の進化に合わせ、POP制作での注意点も変わってきた。ロボット掃除機のPOP制作で最も苦労したのは、走行する床面にテープを手作業で貼り付けたこと。「最新のロボット掃除機には水拭き機能があって、紙だとボロボロになってしまうんです」と濱田さん。 テレビ売り場では、背合わせに展示しているテレビの側面に、画面サイズを書いた細長いPOPの設置を提案。テレビの正面に来なくても、画面サイズがわかる売り場になった。側面へのPOP設置は、マルチメディア千葉でも取り入れている。