トヨタ、英国のEV販売義務化は「非常に大きな課題」 bZ4Xだけで乗り切れるか
販売の2割以上をZEVに義務付け
英国で今年から導入された、自動車メーカーに対し一定割合以上のゼロ・エミッション車(ZEV)の販売を義務付ける「ZEV義務化(ZEV mandate)」について、トヨタは懸念を示している。 【写真】トヨタ唯一の英国向け電気自動車【トヨタbZ4Xを写真で見る】 (35枚) トヨタの欧州部門であるトヨタ・モーター・ヨーロッパの中田佳宏社長兼最高経営責任者(CEO)はAUTOCARの取材に対し、英国政府のZEV義務化は「非常に大きな課題」であり、自動車産業全体の存続に影響を及ぼす可能性があると述べた。 中田CEOは7月11~14日に開催された自動車イベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで講演し、自動車メーカーによる協調と、政府機関との「建設的なコミュニケーション」によってのみ、困難な目標を達成するための解決策を生み出すことができると述べた。 ZEV義務化では、英国において排気ガスを出さないZEVの販売台数を全体の22%以上(2024年)としており、未達の場合は不適合車1台につき1万5000ポンド(約300万円)の罰金が課される。この割合は年を追うごとに上昇していく。 中田CEOは、トヨタの電気自動車(EV)がbZ4xの1車種しかない現状を懸念していると認めたが、必要に応じて「お客様に選択肢を提供するために」さまざまなEVを用意するとした。 しかし現時点では、ハイブリッド車の販売に重点を置き、CO2排出量の削減目標に効果的に貢献しているという。 「わたし達は、お客様の真の要望がわたし達の活動の基盤であることを決して忘れません」と中田CEOは述べ、EVではなくハイブリッド車こそが消費者に求められていると示唆した。 トヨタは最近、マツダやスバルと提携し、効率的な電気モーターとバッテリーで燃焼エンジンを「最適化」し、代替燃料の使用を推進すると発表した。 EVに全面的に注力しない姿勢については、「お客様の多様なライフスタイルに対する深い理解」と内燃機関の未来に対する信念によるものだとしている。 昨年1月に英国トヨタのMD兼社長に任命されたスコット・トンプソン氏は、同社が今年のZEV義務化目標を達成する見込みであると明かした。 トンプソン社長は計画の詳細については明言を避けたが、将来に向けて「トヨタのマルチパスウェイ戦略に非常に自信を持っている」と述べた。トヨタは2026年までに5車種の新型EVを発売する計画だと報じられている。