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尖閣と台湾占領を視野に入れた中国

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JBpress

 わが国固有の領土である尖閣諸島を中国は「核心的利益」と位置づけている。  そのことは、人民解放軍(PLA)、人民武装警察とその隷下の海警局、民兵などからなる全武装力量に対し、「祖国の完全統一」という最大の使命の一つとして、台湾とともに尖閣諸島奪還を付与していることを意味している。  全武装力量を集中統一指導し、唯一絶対の指揮・統率権を有する、習近平中央軍事委員会主席は、2017年10月の中国共産党第19回党大会において、党の軍に対する絶対指導を強調している。  それとともに、「いつでも戦うことができ、戦えば勝てる」軍であることを要求している。  尖閣諸島に対する中国の全武装力量による奪還作戦が行われるとすれば、その尖兵となり侵攻してくるのが、PLAの海軍陸戦隊である。  また中国は尖閣諸島と台湾をともに、太平洋への出口を閉ざす閂として、戦略的に一体とみている。  台湾侵攻を主任務とするPLA海軍陸戦隊の軍改革による近年の変化とその特色を明らかにすることにより、尖閣諸島への海軍陸戦隊の侵攻作戦の変化も読み取れるであろう。  以下では、林頴佑、李玉偉「軍改革後の解放軍海軍陸戦隊の変化と近況の分析」『2020中共年報』(中共研究雑誌社、2020年、3-46-3-53頁)に基づき、PLAの海軍陸戦隊に焦点を絞った分析結果について述べる。  対台湾水陸両用作戦の尖兵としての海軍陸戦隊の改編・増強  過去の海軍陸戦隊は規模も第1旅団と第164旅団の2個旅団に限られ、海軍内でも特に重視されていたわけではなかった。  早くからPLAは水陸両用作戦を重視し、その狙いは台湾にあったが、当時の南京軍区には陸軍の水陸両用機械化部隊が隷属しており、南京軍区には主力の72集団軍と73集団軍が駐屯していた。  その火力と機動力は海軍陸戦隊に比べてはるかに優れており、台湾を意味する「大型島嶼」を目標とした戦力であった。  台湾解放作戦の第1波主力部隊はこれらの陸軍の集団軍とされ、海軍陸戦隊が特に大きな関心を集めることはなかった。  しかし、最近の海軍力の装備の進歩と国力の向上、海外での利益に対する要求の高まりにより、海軍陸戦隊の価値とその適用に対する新たな思索が始まった。  最も顕著な変化は、海軍陸戦隊の編制と任務の拡大である。  2017年3月の中国国防部の記者会見発表によれば、「目下の海軍陸戦隊内の改革措置の相互調整は計画に従い着実に進められている」としている。またPLAも一部の陸軍部隊を海軍陸戦隊の隷下に入れる計画を始めている。  2017年2月に北部戦区の第80集団軍第77旅団は北部戦区海軍陸戦隊の隷下に入った。  また省軍区と警備区の海防師団・旅団の一部も海軍陸戦隊の隷下に入り、陸軍の人員は削減され、海軍陸戦隊の編制拡大の目的に転用された。  PLAの海軍陸戦隊にはそれまで独立した指揮機構が無く3大艦隊の隷下にあった。  しかし2017年2月、習近平主席の八一ビルでの新たに造られた84個の軍単位の組織の接見時に、海軍陸戦隊司令官と同政治委員の職務が出現した。  これは海軍陸戦隊が独立した専門的な指揮・指導組織を持ち、その司令官が正規の軍級の少将であることを顕示し、PLAが海軍陸戦隊を重視していることを示すものでもあった。  対照的に陸軍の集団軍の規模は、各集団軍は6個合成戦闘旅団、および陸軍航空、特殊戦、砲兵、防空、工兵・化学旅団などの旅団から成り、各旅団は3000から5000人、1個集団軍は3万から5万人になった。  現在の海軍陸戦隊は6個合成戦闘旅団を保有していることからみれば、海軍陸戦隊の正規の軍の編制は陸軍の集団軍の構成を超えることはないとみられる。  また、その目的は全域型合成部隊に発展させ、一体化した連合作戦を有効に遂行し即応尖兵部隊としての役割を果たすことにあるとみられる。

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