鋭い眼光が印象的な18歳【上村 侑】 毎日映画コンクール 新人賞受賞!
「少年法」を扱ったテーマが大きな話題を呼んだ映画『許された子どもたち』で、主演を務めた上村 侑。映画デビュー作ながら、その演技力が高く評価され、2021年1月「毎日映画コンクール 新人賞」を受賞した。そんな彼の心情に迫る。 28年後のターミネーターの姿に吃驚! “丸くなったおじさん”を楽しむ映画3本
●さまざまな職業を演じられることで、俳優の道へ
――上村さんの幼い頃の夢は? 小学生の頃は、将来なりたいものが1年ごとに変わっているような感じだったんですが、もともと人前に出て、何かをするのが好きでしたし、「俳優さんだったら、いろいろな職業を体験できるかも?」と思っていました。 母の勧めもあり、中2のときに事務所に入りました。最初のお仕事は、再現ドラマでした。エキストラのお仕事も、いろいろやっていたのですが、そのころ事務所の方の勧めで、内藤瑛亮監督の映画ワークショップに参加することになりました。ワークショップを受けるのも初めてでした。 ――『許された子どもたち』の出演者ワークショップでは、どのようなことを学ばれたのでしょうか? ワークショップでは、いじめや少年法について、とことん話し合いました。たとえば、フィジカルないじめを体験するために、ゲーム形式のロールプレイをやったり、いじめと弄りについての違いを議論したりして。映画に向けて、というよりは知識を深めていくといったものでした。 ――そして、ワークショップ最終日に、主人公である絆星(きら)役に抜擢されました。 その後に台本を渡されたんですが、そのときは「キャストの一人として頑張ろう」といった程度で、主演という大きなものを背負っている実感はありませんでした。主演であることを実感したのは、完成した作品でエンドロールが流れ、いちばん最初に自分の名前が出てきたときでした。いろんな人たちの作品に対する思いを感じたんです。
●柳楽優弥の作品を参考に挑んだ撮影
――撮影当時は絆星と同じ中学3年生でしたが、役作りのために参考にしたことは? 内藤監督から「この作品を観ておいた方がいい」という話はありませんでしたが、雰囲気をつかむために、よく「似ている」と言われる柳楽優弥さんの『誰も知らない』と『ディストラクション・ベイビーズ』を観ました。特に『ディストラクション・ベイビーズ』ではいじめを受ける側のアクションを参考にさせてもらいました。 ――ただ、撮影は内容とともに、かなり過酷だったのでは? 初めての映画の現場でしたし、「やっと俳優として仕事ができる!」という喜びが大きかったです。その一方で、いじめる側から、いじめられる側へと転じていく絆星という役と向き合っていくうえで、そのギャップは精神的に辛いものがありました。例えば、教室の討論会のシーンで起こるガヤガヤした残響は、ずっと頭から離れないほどでした。 ――そして、20年の劇場公開時には大きな話題を呼びました。そして、今年に入り「毎日映画コンクール」 スポニチグランプリ新人賞を受賞されたほか、「日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞」にもノミネートされました。 自分の演技を評価されたことは、ものすごく嬉しいことですし、「やった!」という気持ちもありました。それに、受賞の知らせを聞いたのがクリスマスだったので、「最高のクリスマス・プレゼントじゃん!」みたいなノリもありました。でも、そのニュースを目にしたり、日を重ねるごとに、その喜びは今後の焦りや責任、プレッシャーに変わっていきました。