変わる横断歩道! 物価高で“白線を節約” 間隔90cmに広げて本数少なく 視覚障がい者への影響は?【広島発】
生活に身近な横断歩道。普段、あまり意識しないが“白線の間隔”は法律によって決められている。2024年7月の法改正で間隔を90センチまで広げることが可能になり、12月に広島県内初の横断歩道が登場した。 【画像】白線の数が22本から15本に減った広島駅前の横断歩道
全国で3例目、間隔広めの横断歩道
JR広島駅前に新しく整備されたのは、これまでの横断歩道とは白線の間隔が変わった“県内初の横断歩道”だ。 工事が行われたのは12月2日夜10時すぎ。広島駅前の横断歩道が封鎖され、白線を引く機械が動き出した。きれいな太い白線がゆっくりと引かれていく。 これまで横断歩道の白線の間隔は45~50センチと定められていたが、2024年7月施行の法改正により、最大90センチまで広げることが可能になった。白線の間隔を広げることで本数を減らし、横断歩道の維持費を安くするねらいがある。 今回の工事で、白線の数が22本から15本に減少。背景には物価高の影響があり、節約した費用を他の横断歩道の補修作業に使うとしている。取材した毛利祥子記者は「白線と白線の間隔が2倍に広がったということですが、私の目線からは大きな違いは感じません」と報告。白線の間隔が広がった横断歩道は全国で3例目。西日本では初めてだという。
視覚障がい者への影響を検証
一方、白線を頼りに横断歩道を渡る視覚障がい者の安全確保が課題となっていた。 12月6日、広島県警によって、視覚障がい者が新しくなった横断歩道を安全に渡れるかを検証する体験会が行われた。白い杖の感覚を確かめながら横断歩道を渡る視覚障がい者たち。 ーー違和感はありましたか? 「ない」 「あまりわからない」 体験会に参加した広島市視覚障害者福祉協会の中神誠会長は、間隔が広がった影響について「全盲の自分にはあまり影響はないと思う。ただし、弱視の人は白い線を頼りにして歩く人もいるので、そういう人たちにとっては慣れるまで難しいかもしれない」と指摘した。また、別の参加者からは「白線の間隔や本数が変わったことに違和感はないが、線の数が減ると白色が薄くなって道路の色と同化しそうで怖い」といった意見もあった。
初めての「エスコートゾーン」に安心感
好評だったのは、横断歩道の中央ラインに新しく設置された「エスコートゾーン」。視覚障がい者が横断歩道から外れることなく渡れるように配慮されている。 中神会長は「エスコートゾーンがあることで便利がいい。とても安心して歩けたと思います」と話す。参加者のヘルパーの中には「渡るスピードが速い」と言う人もいて、エスコートゾーンは視覚障がい者に安心感を与えるようだ。 警察は、参加者からの意見をまとめて今後の整備に生かしたいとしている。 (テレビ新広島)
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