「詩壇の芥川賞」H氏賞 うるし山千尋さん(鹿屋市)贈呈式 第3詩集「ライトゲージ」で受賞 「愚直に手抜かず書く」
日本現代詩人会の新人賞で「詩壇の芥川賞」とも呼ばれる第72回H氏賞の贈呈式が29日、東京・千代田区のホテルであった。第3詩集「ライトゲージ」(七月堂)で受賞した鹿児島県鹿屋市のうるし山千尋さん(45)は「今後も愚直に手を抜かず、見えるものと見えないもの、その間のぼんやりしたものをしっかり見極め書いていく」と抱負を述べた。 【写真】受賞の喜びを語るうるし山千尋さん=東京都千代田区
選考委員長の古屋久昭さんは、候補作9点の中で言葉の扱い方や洗練度合いが優れていたとし、「日常の出来事や情景を独特の比喩や切り口で描き、そこから見える奇妙さがこれまでにない魅力を醸し出していた」と評価。出席した出水市の詩人、岡田哲也さんも「広くて深いグレーゾーンの言葉が読み手の中で微妙に響き、共鳴する」とたたえた。 うるし山さんは「受賞は何かの間違いではと不安だったが、ようやく実感を得た」と笑顔。4年がかりで完成した詩集について「一冊分の長い詩を書いているようで心地よかった」と振り返った。社会保険労務士、行政書士として働きながら詩作を続けており「これからどういう詩を生み出すか、真摯(しんし)に向かい合っていくのが賞を受けた者の使命」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島